「ブレ幅を小さくする」ことのメリットとデメリット
もうひとつ、重要な注意点があります。「分散し過ぎ」は、実は危険だということです。
ときどき「分散投資は安全だ」と信じ込み、自己資金をやみくもに様々な商品や銘柄に細かく分散する人を見かけます。ところが、分散し過ぎると、一つひとつの銘柄を管理し切れなくなったり、さらには、ブレ幅(=リスク)が平坦にならされるのはいいのですが、その半面、全体の資産がなかなか増えていかなくなったりという、なんとももどかしい状態にもなりかねません。これでは羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くというか、やぶ蛇というか、何のために投資をしているのか、わかりません。
さらに言うと、取引手数料のかかる商品にたくさん分散している場合は、利益よりも手数料の方が高くなってしまったという、笑い話のような事態にもなりかねません。ご本人はリスクに対する保険をかけているつもりでも、結果的に保険料(手数料)の方が高くついてしまったわけです。要するに、分散のし過ぎは、知識の足りない人がやってしまう本末転倒な行為なのです。
1人の投資家が個人で管理できる商品(銘柄)数にはおのずと限界があります。分散投資をするのであれば、「自分でわかる分野」に絞ったうえで、「自分で負担にならない数」に抑えること!これが大鉄則です。
私の経験で言うと、株式投資であれば10〜20銘柄、慣れてきた人でもせいぜい30銘柄くらいでしょう。初心者であれば、まずは5銘柄くらいから始めるのが、無理なくできる順当な数だと思います。
なお、分散の効果については、メリットがあるのは20銘柄くらいまでで、それ以上になるとインデックスに投資しているのと変わらず、メリットはどんどん薄くなってしまうという調査結果も出されています。また、本当にリターンの高い銘柄があれば、それに集中した方がいいことも事実なのです。
かのバフェット氏も「分散は無知の人がやることだ」と言っています。
◆まとめ◆
分散のし過ぎは”保険料の方が高い保険”のようなもの!
市川 雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】