(※写真はイメージです/PIXTA)

中国恒大の経営危機や岸田新政権の発足といった複数の要因を背景に日経平均株価は乱高下。先行きの見通しがつかない状況が続きますが、相場がどのような状況であっても常に利益の確保を目指す「絶対収益追求型」投資戦略があることをご存じでしょうか。 ※本連載は、川原淳次氏の著書『大学・財団のための ミッション・ドリブン・インベストメント』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「絶対収益追求型」投資の特徴

投資の特徴としては、

 

1.形態(私募投信、公募投信、事業組合への出資等)

2.流動性(日次、週次、月次、四半期、年次等)

3.ロックアップ(投資後一定期間解約不可)の有無

4.報酬(固定報酬に加え成功報酬)

 

があげられます。

 

投資形態は、規制や税制面の理由からケイマン諸島などタックスヘイブンでの外国籍、私募形式の会社型投信が多く用いられています。国内から直接投資することはありますが、機関投資家に限定されていることも多く、信託銀行や国内籍投信などを経由することで一般投資家も投資できます。

 

流動性については金融危機での問題もあり、日次流動性を求めるケースも増えています。特に、公募投信として販売されるなど、日次での購入・売却ができるものはリキッド・オルタナティブと呼ばれています。

 

以前は私募投信や事業組合形式が多く、情報開示も四半期に1回程度だったために、透明性にも課題がありましたが、流動性の向上とともに情報開示も進んできています。

 

報酬についてもシングル戦略の場合、従前は固定報酬が2%、成功報酬が超過収益の20%というのが一般的でしたが、最近は低下傾向にあります。

 

留意点として、売り持ち戦略を用いるために生じる、レバレッジ(借り入れ)リスクがあげられます。どの程度のレバレッジを活用するのかは事前に確認しておく必要があります。また、レバレッジを使う場合、資金調達や貸し債・貸し株などを行うプライム・ブローカーと呼ばれる外部の金融機関を活用します。

 

さらに、戦略が多岐にわたるので、適切なベンチマークの設定にも注意が必要です。実際はどのような戦略に分散させるのかを決めて、それに合った指数(例えば、ヘッジファンドリサーチ社の戦略別指数など)を設定するか、単純に短期金利+何%といった絶対収益目標を置くこともあります。

 

投資家は、どういう目的で、どういう戦略を選ぶのかを検討する必要があります。

 

株式の一部として、株式よりもリスクが低くて収益源を分散させるのであれば、株式ヘッジ戦略、低金利や金利上昇が気になるのであれば、債券型戦略が検討対象になります。しかし、株式や債券等伝統的資産との分散を考えるのであれば、ディレクショナル戦略ではなく、両者と相関が低いものが投資対象になります。

 

戦略自体も分散されるべきものなので、複数の戦略への分散が必要ですが、資産規模の制約で不可能な場合もあります。その場合は、ファンド・オブ・ファンズから始めて、サテライト的にシングル戦略を組み合わせる手法もあります。

 

ここでは、絶対収益追求型を1つの資産クラスとして扱っていますが、あくまで投資対象は同じで戦略が異なるだけということで、株式や債券といった既存の資産クラスの一部として区分されることもあります。

 

運用報酬は、投資家の手取りのパフォーマンスを減価させる要因となります。報酬の高さが課題となる場合には、スマートベータのようなファクター投資によってフィー低減が期待できるオルタナティブ・リスク・プレミア戦略も出てきています。これは、絶対収益追求型戦略が用いている戦略の一部をルール・ベースで運用するものです。

 

川原 淳次

野村アセットマネジメント株式会社

マルチアセット&ソリューションズ担当CIO

 

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