投資規模が拡大する「ベンチャーキャピタルラウンド」
そうして企業として整っているべきものが揃い、さらに資金を投入すれば一気にシェアが取れるとなったところで「ベンチャーキャピタルラウンド」に移行します。このラウンドは大まかにシリーズA(成長拡大期)/シリーズB(成長安定期)/シリーズC(上場直前期)に分かれます。ベンチャーキャピタルは多くの投資家から集めた資金を束ねて運用していますので、投資規模も大きくなります。
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターの投資動向調査によると、2020年第4四半期にベンチャーキャピタル(VCとCVC※の合計)は総額546億8000万円を360件の国内案件に投資しています。1件につき平均1億5690万円ですから、エンジェルラウンドと比べると桁が違います。
ベンチャーキャピタルが入ってくると、完全に上場までのレールが敷かれます。外部から優秀な人材を招き入れて経営管理体制を盤石にし、収益をどんどん伸ばして黒字経営にまで持って行きます。内部監査やコンプライアンスもきちっと整えて上場に備えます。
上場のタイミングを「N」とし、そこから遡って1年前をN–1、2年前をN–2、3年前をN–3......とカウントしていく数え方もあり、上場準備を始めるのはN–3くらいからが理想です。N–2あたりになると出資しているベンチャーキャピタルの顔ぶれを見て「あそこが出資しているならウチも」と勝手にお金が集まってくるので、資金繰りに苦労することはなくなります。そうした盛り上がりが最高潮に達したところで、新規上場(IPO)に至るのです。
※CVCとは「コーポレートベンチャーキャピタル」の略で、投資を本業としない一般の事業会社が自己資金でファンドを形成し、ベンチャー企業に出資や支援を行うこと。VCがあらゆる分野のベンチャー企業に投資するのに対して、CVCは本業と関連性がありシナジーが期待できる分野に限って投資することがほとんど(例・自動車メーカーが自動運転技術に活用できるAI開発のベンチャーに投資するなど)。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】