エンジェル投資家(これから事業を始めようとする起業家に対して出資を行う個人投資家)の坂元康宏氏は、「日本の会社員はあと10年で滅びる」と主張しており、起業の重要性について説いています。今回は、エンジェル投資家がどのように企業への出資を決めるのか、見ていきましょう。

エンジェル投資家「投資先選定」の基準となるのは?

創業者とエンジェル投資家が出会う場はさまざまです。

 

創業者は出資してくれる人を探すためにあらゆる手段を尽くしますし、私たちも投資案件を探してアンテナを張り巡らしています。人伝に紹介を受けることもありますし、ホームページを見て売り込みがくることもあります。あるいは我々が主催するビジネスコンテストでの縁もあります。

 

どんな基準で出資する企業を選定するかはエンジェル投資家によりけりですが、私たちはまず最低限以下の14種類の書類を提出してもらいます。

 

【面談前に提出を求める書類】

①会社謄本
②決算書2期分
③直近2カ月以内の試算表
④販管費明細
⑤前月の銀行残高と借入残高
⑥役員名簿と経歴
⑦株主名簿
⑧定款
⑨主要顧客リスト
⑩会社案内パンフレット(あるいはホームページ)
⑪資本政策表
⑫株価算定書
⑬事業計画書
⑭発行株式の概要

 

提出していただく書類の数は多いものの、企業として普通に事業を営んでいれば”出し慣れている”ものばかりでしょう。もちろん、会社設立から2年が経過していなければ「②決算書2期分」はなくて当然ですし、「⑩会社案内パンフレット」はホームページでも代用可です。「⑫株価算定書」は専門業者に依頼したことがあれば提出をお願いしているもので、なければ後回しでも大丈夫です。

 

この中ですぐに出せないものがあるとしたら「⑥役員の経歴」かもしれません。代表者のものはすぐに出せても、一緒にやっていく取締役の経歴を外部にどこまで詳らかにするか迷うかもしれません。ですが、我々がこれを求めるのには2つの側面があります。

 

一つは経歴の確認で、例えばテック系のベンチャーですとCEO(最高経営責任者)と同じくらいCTO(最高技術責任者)も重要になります。その方が大学で生物学を専攻していたのに、ITやAIの分野でCTOに名を連ねている場合にはどこまで専門性に信頼がおけるか、職歴等を確認する必要があります。

 

もう1つは反社チェックです。我々の出資金がその筋に利用されたとなると、我々の評判がガタ落ちになってしまい、投資の成否うんぬんを超えたダメージを受けてしまいます。ですので、こちらはかなり厳しくチェックしています。

 

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※本連載では坂元氏が成功する起業家の特徴や、「エンジェル投資家」について解説していきます。

起業するなら「エンジェル投資家」を口説きなさい

起業するなら「エンジェル投資家」を口説きなさい

坂元 康宏

幻冬舎メディアコンサルティング

海外の若手起業家にとって当然の存在でありながら、日本ではほとんど認知されていないエンジェル投資家。若手起業家の元へ足繁く通い、ハンズオンしてきた著者だから見えた成功者の共通点とは。投資家として、起業家として、エ…

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