連続起業家にもさまざまなタイプがいる
連続起業家※というあり方が広く知られるにつれて、そのメリットが喧伝され、"イケてる"起業家像としてメディアなどで採り上げられることも増えてきました。
※自己資金を投じて会社を起ち上げ、M&Aでその会社(株式、または事業)を売却というサイクルを繰り返すことで、お金を稼ぐ人。
メディアによく登場するような著名な連続起業家は連続起業家の中でもごく一部にすぎません。世間的にはあまり知られていなくても、ひっそりと連続起業を成功させて資産を増やし、豊かな人生を歩んでいる起業家の方が、たくさんいるのです。
そして、一口に「連続起業家」といっても、その経歴や起業に対する考え方、経営してきた事業の規模感や、イグジットの金額水準などはさまざまです。もともと起業家という存在自体もひとくくりにはできませんから、連続起業家もひとくくりにはできないのは当然でしょう。
例えば、小規模な連続起業家の例として多いのはサイト売買やアプリ売買です。今はやや沈静化していますが、2、3年前までは、Webサイトやアプリ、特にメディアサイトの売買が非常に盛んで、普通の会社員がなかば趣味で制作・運営をしてアフィリエイト広告などで多少の収益を得ていたWebサイトが数百万円で売れるといったことも、当たり前に見られました。
このようなケースでも事業の売却という点ではイグジットですし、それで得られた資金を元手にして別のWebサービスを起ち上げたなら立派な連続起業家です。
あるいは、アートやファッション、旅行などの分野では、仲間同士でショップやホテルなどを起業して、ある程度軌道に乗った段階で大手の同業者に売却して別のショップを開業するといったスタイルで、いわばその時々の気が向くままに、自由なスタイルで起業を楽しんでいるような若い人も増えています。
一方では、店舗をどんどん増やしたり、自分が他社を買うほうのM&Aによって事業を拡大したりして比較的短期間でほとんどIPO可能なレベルまで企業規模を拡大する投資家もいます。
そして、そのような起業家が、IPOとM&Aイグジット※とを総合的に比較して、M&Aイグジットを選択することもあるのです。こういったケースでは少なく見積もっても数十億円、場合によっては100億円以上のイグジット規模となります。
※自己資金を投じて会社を起ち上げた起業家が、M&Aでその会社(株式、または事業)を売却すること。起業家はM&Aによって多額の資金を得ることができる。
以下では具体的な例として、私が実際に仕事などを通じて知り合い、現在でも親しく交遊させてもらっている連続起業家、A氏、B氏の例をご紹介しましょう(なお、A氏、B氏の話については、ご本人たちのプライバシー保護のため、事実と異なる部分が多少ありますが、大筋は事実に基づくものです)。
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