相続税対策として不動産を購入しませんか? このような文句をよく聞きますが、円満相続税理士法人の橘慶太税理士は「相続税対策を目的とした安易な不動産の購入はすすめられない」といいます。なぜなのでしょうか。不動産購入が相続税対策になるといわれている理由、そしてその対策がすすめられない理由を見ていきます。

不動産購入で相続税対策…すすめられない3つの理由

このように「不動産を購入すれば相続税対策になる」は本当です。ではなぜおすすめできないのか、説明していきます。

 

まず理由その1。「不動産の資産価値そのものが下がると、節税以上に損をするから」。これが最大の理由です。

 

話は簡単で、1億円の不動産を購入し、それによって相続税が1000万円節税できたとします。その後不動産を売却したとき8000万円でしか売れなかったとしたら、2000万円を損していることになります。このように節税以上に資産価値、つまり財産を減らすという結果になってしまい、結局、「不動産を買わないほうが良かったですね」ということになるわけです。

 

ですから、資産価値が下がらない物件をきちんと見極める目を持っているのであれば良いのですが、世の中、そんなに甘いものではありません。税金対策だけで不動産を購入するのは、おすすめできません。

 

理由その2。「税務調査で否認されるリスク」があります。平成29年5月23日に裁決が出た裁判で、「相続税対策だけで購入した不動産については、相続税評価額の引き下げは認めません」という結果が出ました。

 

相続税評価額で計算するのではなく、不動産鑑定士に鑑定をしてもらって、地価で計算しなさい、と結果的に納税者が負けた裁判でした。

 

裁判のポイントは以下の通り。

 

・相続発生の3年前に不動産購入

・相続発生7ヵ月前に相続人が不動産売却

・銀行の融資稟議書に「相続税対策」と記載あり

 

税務調査の際、銀行の融資稟議書も見られます。このように「相続税対策だけで購入した不動産」の評価というものに対して、厳しく見られていくと考えられます。

 

理由その3。「遺産が分けにくくなる」。不動産を購入することによって、相対的に金融資産は少なくなるので、遺産分割しにくくなる、ということがあります。

 

仲の良いきょうだいであればいいのかもしれませんが、きょうだいで不動産を共有するというのはリスキーなので、やめたほうがいいですね。

 

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