在宅勤務は「生活の質」が向上!改善すべきは生産性
どこの会社でも変わらないが、新型コロナ危機以前、公共交通機関を利用する通勤は日常の風景だった。
事務系の仕事に関する限り、フレックスタイムは導入されていても、誰もが毎日、自宅とオフィスを行き来していた。
小さな子どもがいるママワーカーは朝早く起きて、子どもを保育園に預けて、混雑した電車、バスに乗って会社へ行く。帰りはまた混雑した電車、バスに揺られて、駅からは自転車に乗って子どもを迎えに行く。子どもと一緒にスーパーで買い物をする。うちに帰ったら家族の食事の用意をして、食べ終わったら洗濯と掃除もする。
そんな毎日を送って、しかも通勤時間が1時間以上という人が平均的だというのだから…。
子どもの送迎やスーパーの買いものは時には夫がやってくれることもある。しかし、これまでの勤務体制で負担が大きかったのは小さな子どもがいるママワーカーだった。
都市でなければ自動車で子どもの送り迎えをする。それであっても負担の大きさは変わらない。
新型コロナ危機以前の通勤生活はリーンな生活で、スリルとサスペンスにあふれていた。
それが一転して、在宅勤務になった。
レノボ・グループはコロナ禍の最中、世界10か国で在宅勤務について調査をしている。その結果が朝日新聞に載っていた。
「日本では在宅勤務の生産性がオフィスより下がるという回答が40パーセントとなり、各国平均の13パーセントを上回った」
おそらく、日本の場合、どこの会社が調査をしても、「オフィスで仕事をする方が在宅勤務よりも生産性は高い」という答えが多いのではないか。そして、ビジネスパーソンのうち、男性はオフィス勤務の方が性に合うと思っているのではないか。
みんなとワイワイガヤガヤ話ができるし、帰りに居酒屋で1杯飲むことができる。在宅勤務となると、そういった楽しみがなくなってしまう…。
ただし、よく考えてみてほしい。それまでの通勤実態と生活を考えれば、人間にとっては在宅勤務の方が「生活の質」は向上しているのではないか。
なるほどオフィスで仕事をする方が家で働くよりも生産性は高いかもしれない。しかし、多少、仕事の生産性が下がったとしても、企業も働く人間もできるかぎり在宅勤務を受け入れるべきなのではないか。
さて、調査に答えた人が「生産性が下がったと感じている」原因は次の3つだと思われる。
慣れていないこと、オフィスに比べれば整っていない通信環境、そして、仕事をする環境そのもの。
3つのうち、後者ふたつを改善していけば在宅勤務の生産性は間違いなく上がっていく。