コロナ禍で、自動車のオンライン販売、サブスクリプションサービス普及の傾向は強まった。まだマーケットを占有する会社は現れていないが、自動車会社は今後、大きな変化にどう対応するかが問われることになる。変化は売り方だけではなく、ガソリンエンジン車からEVへの流れにも起こる。※本連載は、野地 秩嘉氏著『トヨタの危機管理 どんな時代でも「黒字化」できる底力』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

自動車の通販・サブスクリプションサービスが台頭

中国ではアリババが2010年から自社の通販サイトで新車を売っている。

 

新車ではまだ多数派になっていないが、中古車のオンライン販売はどこの国でも当たり前のビジネスになりつつある。

 

コロナ禍ではこの傾向が強まった。人との接触を避けたいユーザーはオンライン販売に魅力を感じているから、今後もいくつかの会社が追随してくるだろう。

 

そして、同時にサブスクリプションサービスも普及が加速している。

 

サブスクリプションサービスは中国ではすでに大きなビジネスになっている。前述のアリババは新車販売の他、サブスクリプションでもすでに百万台近い契約台数を獲得している。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

自動車会社であれば自社の車種しかサブスクリプションにできない。一方、アリババは子会社が全ブランドの車を仕入れ、それをサブスクリプションに回している。ほとんどすべての車種を扱っているが、レクサスだけはラインナップには載っていない。

 

日本ではトヨタの「KiNTO(キント)」を始め、SOMPOホールディングスとDeNAが「SOMPOで乗ーる」をスタートさせた。続いて、IDOM(旧ガリバーインターナショナル)が「NOREL(ノレル)」、カーコンビニ倶楽部が、「もろコミ(カーリース)」を開始。日産も「NISSAN ClickMobi(クリックモビ)」という新車のサブスクリプションに進出した。

 

ただ、まだどこもスタートしたばかりで、マーケットを占有している会社は現れていない。

 

新車のオンライン販売、サブスクリプションに関してはアマゾンが本気で参入してきた時が普及のターニングポイントとなるだろう。自動車会社にとって最大のライバルは同業ではなく、本気になった時のアマゾンではないだろうか。

 

車はEVが増え、自動運転車もできる。内容は進化していく。トヨタだけでなく自動車各社の販売部門、販売店は大きな変化に対して、どう対応するかが問われてくる。その時に思い出す言葉は「変化に際しては、売れるモノを売れる形で売れるところで売る」というものだ。

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トヨタの危機管理 どんな時代でも「黒字化」できる底力

トヨタの危機管理 どんな時代でも「黒字化」できる底力

野地 秩嘉

プレジデント社

コロナ禍でもトヨタが「最速復活」できた理由とは? 新型コロナの蔓延で自動車産業も大きな打撃を受けた―。 ほぼすべての自動車メーカーが巨額赤字となる中、トヨタは当然のように1588億円の黒字を達成。 しかも、2021…

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