高く売れる会社は「買い手」の気持ちにフィットする
M&Aイグジットは、ドライにいえば、会社や事業を「商品」として売るということです。もちろん、ほとんどの経営者は、自分の人生の大部分をかけて起業して会社を育てているでしょうから、そうドライに割り切れない気持ちがあるはずです。
また、苦楽をともにした社員の気持ちや生活を考えたときにも、会社は商品だといい切ってしまうことには抵抗を感じるかもしれません。しかしM&Aイグジットを純粋に経済的な行為として見れば、会社(株式)あるいは事業を売却してその対価を得るとき、会社は売買の対象となる商品だということになります。
他の一般的な商品を開発して販売するときと同様、売れる商品を作るためにはまずマーケットを知らなければなりません。マーケティングにおいて、プロダクトアウトが先か、マーケットインが先かという議論は昔からありますが、少なくともPMF※4(プロダクト・マーケット・フィット)をまったく考えずに商品販売が成功することはまれでしょう。
※4自社のサービスや商品が市場の求めるものと一致していること
そこで、M&Aイグジットにおいても、マーケット、つまり「買い手」がなんのために、どんな気持ちで会社を買うのかを理解することが、ポイントになります。そのうえで、そこにフィットした会社とはどんな会社かを考えるのです。
ここでもう一つ確認しておかなければならないのは、M&Aの買い手になるのは、大きくわけて事業会社(個人事業主も含む)と、PEファンド※5があるという点です。事業会社とPEファンドとでは、M&Aの目的が異なります。そのために、求める売り手の内容も微妙に異なってきますので、内容の違いを確認しておく必要があるでしょう。
※5「プライベート・エクイティ・ファンド」の略称。機関投資家や個人投資家から集めた資金を未上場企業に投資し、IPOや売却によって利益を得ることを目的としたファンドのこと。
牧田 彰俊
株式会社すばる
代表取締役
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