(※写真はイメージです/PIXTA)

いざというときに相続で困らないためには、相続の基本を知り、早めに準備をすることが大切です。今回は、相続税を申告しなかった場合について見ていきます。※本連載は、平野克典氏と金子嘉徳氏の共著『相続のお守り』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

相続税を期間内に申告しないと、追加で課税される

後述しますが、相続税の申告期限は10ヵ月です。もし、この期間中に申告しなければどうなるのでしょうか。

 

この場合、「無申告加算税」が課されます。わざと申告しなかった場合はもちろん、申告を忘れていたり、相続税が発生しているけれど基礎控除額を超えずに非課税だと思い込んでいたりなど、悪意がなくても同じように課せられます。

 

無申告加算税は相続税に加えてペナルティとして納めなくてはならない税金で、税率は5%です。ただし、これは期限後に税務署から調査通知が来るまでに申告した場合であり、その後はさらに税率が高くなります。納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超えると20%です。

 

さらに申告が遅れて課せられるのは、無申告加算税だけではありません。「延滞税」も課されます。延滞税とは税金が期限までに納付されない場合に課される追加課税で、税率は原則として、納付期限から2ヵ月以内は年7.3%、2ヵ月を超えると14.6%にもなります(ただし、特例基準割合の適用あり)。

相続税がすぐに払えない場合の「延納」「物納」とは?

相続税は、金銭で一括納付するのが原則です。それが難しい場合には、相続財産の一部を売却して納税資金に充てる方法があります。特に、相続財産の大半が不動産の場合は納税資金が不足しがちです。そうしたケースでは、不動産の売却により現金化して、納税資金にする方法がよく採られます。

 

それでも相続税を納められなければ「延納」が可能です。延納の申請をすれば、年賦で納付することが認められます。ただし、相続税額が10万円を超えていることが条件で、延納期間中は利子税を納付しなくてはなりません。

 

また、延納税額が100万円を超えるか、延納期間が3年を超える場合には、担保も必要です。どれだけの期間延納できるかは財産の内容によって異なりますが、最高で20年です。

 

さらに、延納によっても納付が困難な場合には、「物納」が認められるケースもあります。これは税金を金銭以外のもので納入することで、対象となるのは、不動産、船舶、国債証券、地方債証券、株式、美術品やその他の動産も含まれます。

 

また、納税したくても、相続税の納付の期限までに遺産分割協議がまとまらない場合には、法定相続分で相続したものとみなし、相続税を算出して一旦その金額で納付する方法が採られます。その後に協議がまとまったら、改めて相続税を計算し直して、納付した額が計算よりも少なければ差額を納税する「修正申告」を、多すぎたら差額を還付してもらう「更正の請求」を行うことになります。

 

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