普通住宅地区なら間口8メートルが一つの基準に
土地が道路に面している部分を間口といいます。間口が狭いと土地は、使いにくくなり価値が低くなるので、相続税評価額の減額が認められています。路線価に間口狭小補正率(下記)を掛けて計算します。
たとえば普通住宅地区の場合、間口が8メートル未満の場合から減額が認められています。普通住宅地区に下図の土地があった場合、どのように評価するでしょうか。
間口は6メートルしかありませんから、間口狭小補正の対象となります。補正率表の普通住宅地区の欄を見ると0.97となっています。路線価が15万円なので、15万円(路線価)×0.97(間口狭小補正率)×60㎡(面積)=873万円がこの土地の相続税評価額となります。
間口と奥行きの比率によってはさらに減額も
間口と比べて奥行きが長すぎる土地はさらに減額をすることができます。奥行長大補正といいます。奥行価格補正は、間口は関係なく奥行きの長さのみで判定されましたが、奥行長大補正は間口と奥行きの比率によって決まっています。
普通住宅地区の場合、間口よりも奥行きのほうが2倍以上長いと減額が認められています。下図の土地の場合、間口が5メートルで奥行きが12メートルですから、間口に対する奥行きは2・4倍となります。
奥行長大補正率表(下記)によると、普通住宅地区で補正率が0.98となっているので、この数値を路線価に掛けて計算します。15万円(路線価)×0.94(間口狭小補正率)×0.98(奥行長大補正率)×60平方メートル(面積)=829万円がこの土地の相続税評価額です。
ほとんどの税理士は、奥行価格補正、不整形地補正、間口狭小補正、奥行長大補正の減価要因を適用漏れしているケースは少ないです。ところが、残念なことに、現地を測っていなかったりして図面を作成しておらず、結果、正確な補正でなく、補正率が高くなっているケースが多く見られます。
[通達]
20─3 次に掲げる宅地(不整形地及び無道路地を除く。)の価額は、15《奥行価格補正》の定めにより計算した1平方メートル当たりの価額にそれぞれ次に掲げる補正率表に定める補正率を乗じて求めた価額にこれらの宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。この場合において、地積が大きいもの等にあっては、近傍の宅地の価額との均衡を考慮し、それぞれの補正率表に定める補正率を適宜修正することができる。
⑴ 間口が狭小な宅地 付表6「間口狭小補正率表」
⑵ 奥行が長大な宅地 付表7「奥行長大補正率表」