米国株式市場で話題のミーム(meme)銘柄が再び急騰

米国株式市場ではミーム(meme)銘柄が再び注目を集めている。ミーム銘柄は、①SNS上で話題になったことをきっかけに、②出来高の急増を伴いながら、③株価が短期間で急騰する、④空売り比率が高い米国小型株が主に該当する。このミーム銘柄のボラティリティ(変動率)はあまりにも高いため、一般的な株式よりも投機色が強くなることを十分認識する必要がある。

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ミーム銘柄が急騰した背景は?

先週1週間(5月21日~28日〔終値ベース〕)でミーム銘柄の代表格であるゲームソフト小売大手のゲームストップ株は約26%上昇、映画館を運営するAMCエンターテイメント株は約116%も上昇した。ゲームストップ株は今年1月のReddit(レディット)騒動時の高値は超えなかったが、AMCエンターテイメント株はその高値を大幅に上回った(図表1)。

 

日次、米ドル建て、配当無し、2020年12月末=100で指数化 期間:2020年12月末~2021年5月28日 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ゲームストップとAMCエンターテイメントの株価推移 日次、米ドル建て、配当無し、2020年12月末=100で指数化
期間:2020年12月末~2021年5月28日
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

ミーム銘柄はボラティリティが高く投機色が非常に強いため、株価が急騰した理由をファンダメンタルズに求めてもあまり意味が無い。むしろ、個人投資家のまとまった投資マネーが空売り比率の高いミーム銘柄に集中し、ガンマ・スクイーズを引き起こしたと見るのが自然だろう。

 

それではミーム銘柄のボラティリティは、代表的なアセットクラスと比較してどれほど高いのだろうか? 図表2はMSCI先進国株指数、ビットコイン、ミーム銘柄における過去3年間のリスク値(年率)を比較したものだ。

 

月次、米ドル建て、配当込み、期間:2018年4月~2021年4月 ※MSCI先進国株指数はMSCI World Net Total Return USD Indexを使用 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]各金融資産の3年リスク値(年率) 月次、米ドル建て、配当込み、期間:2018年4月~2021年4月
※MSCI先進国株指数はMSCI World Net Total Return USD Indexを使用
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

ご覧のように、ゲームストップ株やAMCエンターテイメント株のリスク値はMSCI先進国株指数と比較して突出して高く、さらに同様に投機色が強いとされるビットコインよりもはるかに高いことが分かる。

ミーム銘柄の急騰をファンダメンタルズの観点から語れない理由

ミーム銘柄の急騰をファンダメンタルズの観点から語れない理由は、AMCエンターテイメントの業績見通しを見れば明らかだ。図表3はAMCエンターテイメントの市場予想EPS(1株あたり利益)を示したものだが、2023年まで赤字予想となっている(市場予想は5人のアナリスト予想の平均値から算出されている)。

 

年次、単位:ドル、期間:2019年~2023年(2021年以降は市場予想) 市場予想はブルームバーグ集計 ※調整後EPSは一時的/異常損益を除外(ブルームバーグ基準) 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]AMCエンターテイメントの調整後EPS(実績、予想) 年次、単位:ドル、期間:2019年~2023年(2021年以降は市場予想)
市場予想はブルームバーグ集計
※調整後EPSは一時的/異常損益を除外(ブルームバーグ基準)
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

株価の急騰が示すほど業績見通しが劇的に改善していないのであれば、(破格の買収提案でもない限り)投機を疑ってしかるべきだろう。

 

どの銘柄を買付けるかは市場参加者の自由だが、自分が「投資家」なのか、それとも「投機家」なのか、自問自答してみる良い機会かもしれない。

 

 

※個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式市場で話題のミーム(meme)銘柄が再び急騰』を参照)。

 

(2021年5月31日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

ストラテジスト

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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