NYダウ急落の背景に「Reddit(レディット)」ありか?

1月27日のNYダウは前日比2.05%の下落となった。急落の背景としては、新型コロナワクチンの供給遅延や決算発表前後の利益確定売りなど、様々な要因が指摘されている。しかし、おそらく最大の要因は米投稿サイトのReddit(レディット)を発端としたヘッジファンドのポジション解消に伴う「不安心理の増幅」であろう。※投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。本連載では日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

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ヘッジファンドが空売りした「ペニーストック」を個人投資家が買いで対抗

米国では株価が5ドル未満の株式を「ペニーストック」と呼んでいる。通常、「ペニーストック」は業績不振など何らかの問題を抱えているケースが多く、ヘッジファンドのような機関投資家が好んでショート(空売り)する傾向にある。その中でも特に空売り残高が積みあがった銘柄に注目したのが、投稿サイトRedditの掲示板(WallStreetBets)に群がった個人投資家だ。

 

この掲示板に集まった個人投資家が結託して空売り残高が積みあがった株式のコールオプション(買う権利)を買い上げ、コールオプションの売り手であるマーケット・メーカーによるヘッジ(株式の買い付け)をエスカレートさせた(専門用語でガンマ・スクイーズと呼ぶ)。

 

この結果、「ペニーストック」は短期間で株価が爆騰することになり、「ペニーストック」をショートしていたヘッジファンドが高値での買い戻しを余儀なくされ、大きな損失を被った。報道では複数のヘッジファンドがショート・ポジションの解消に迫られ、マージン・コールに対応するため、ヘッジファンドのロング(買い持ち)ポジションについても一部解消売りを行ったようだ。これが「不安心理の増幅」につながり、株式市場全体がリスク・オフ・ムードになったと考えられる。

 

日次、配当無し、単位:米ドル、期間:2020年7月29日~2021年1月28日 ※流通株に対する空売り残高割合は2020年7月29日時点 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

[図表1]代表的なペニーストックの株価騰落率(6ヵ月間) 日次、配当無し、単位:米ドル、期間:2020年7月29日~2021年1月28日
※流通株に対する空売り残高割合は2020年7月29日時点
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

爆騰したゲームストップ株は、米小型株指数の上位構成銘柄に

日次、配当無し、単位:米ドル、期間:2020年7月29日~2021年1月28日 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ゲームストップ株の株価チャート(ローソク足) 日次、配当無し、単位:米ドル、期間:2020年7月29日~2021年1月28日
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

「ペニーストック」の代表的な銘柄であるゲームストップ株は、わずか6ヵ月間で4668%(2020年7月29日~2021年1月28日)も上昇した。この結果、今では米S&P小型株600種指数の上位構成銘柄となっており、株価指数全体への影響も大きくなっている。

 

実際、1月28日の米国株式市場では、米新興ネット証券のロビンフッドがゲームストップ株などの取引を一部制限したことから、ゲームストップ株は前日比44%の下落となり、米S&P小型株600種指数も同1.83%の下落となった一方、大型株で構成されるNYダウは同0.99%の上昇となった(同日引け後にはゲームストップ株などの取引制限をロビンフッドが解除したことが発表され、ゲームストップ株はアフター・マーケットで再び急騰している)。

 

市場全体に広がった不安心理はいずれ沈静化すると思われるが、一部のReddit関連銘柄の高いボラティリティ(変動率)は、今後も継続する可能性があるので注意が必要だ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『NYダウ急落の背景に「Reddit(レディット)」ありか?』を参照)。

 

(2021年1月29日)

 

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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