米国を本拠とする国際的なマーケティングリサーチカンパニー、J.D. パワー(ジェイ・ディー・パワー)による顧客満足度調査から、今回は「自動車保険」について見ていきます。

■保険会社の保険料の払い戻し、顧客による認知に課題

自動車保険業界は新型コロナウイルスの感染拡大以降に走行距離が大幅に減少した顧客に対して前例のない180億ドルの自動車保険料(保険料総額の約7%に相当)の払い戻しを行った。この保険料払い戻しの対象範囲の広さと規模の大きさにも関わらず、契約者の43%は自動車保険会社がこのような取り組みを行っていたことを認識していない。

 

■大手保険会社への顧客の集約化が継続

現在、5大保険会社(保険料総額ベース)が受け取る自動車保険料は業界全体の6割を占めており、20年前と比較して44%も増加した。5大保険会社への集約化は前年と比較しても3%増加している。

 

業界全体で推定100億ドルの広告費を投じているにも関わらず、このトレンドが続く主な理由には5大保険会社には消費者が純粋想起できるほど高いブランド認知度があることが挙げられる。

 

■顧客生涯価値は保険会社にとって非常に重大な指標

自動車保険契約者の25%は、クレジットスコア*1が高く、保険商品の追加契約をする可能性が高いことから、顧客生涯価値が高くなると予測される。今年の調査によると、Met Life(33%)、Travelers(32%)、Erie Insurance(31%)は生涯価値の高い顧客の割合が大きい。

 

*1:保険契約者のクレジットカードの利用状況を中心とし、その人の財政面の信用度を数値化したもの。新規契約の引受け・更改の判断および料率算定の際の重要な要素として用いられている。

 

■J.D.パワー 損害保険部門長 トム・スーパーのコメント

「コロナ禍で保険の契約行動について多くのことが顕わになった。経済的影響を受けた顧客は契約の見直しに積極的になり、その多くが有名ブランドや保険料率の低い商品に引き寄せられた。

 

コロナ禍の経験は、より洗練された新規顧客の獲得や既存顧客のつなぎ止めのための手段の必要性を明らかにした。皮肉なことに、業界の推定年間広告費は現在100億ドル近くになっているにもかかわらず、顧客はトップブランド間の違いが見えにくくなったといっている。

 

長期化する大混乱からの回復を経て、保険料、柔軟性、保険適用範囲などの要因に対する期待値は高まっている。現在の段階的な変更は顧客ニーズに必ずしも合致しておらず、保険会社は顧客サービスやその提供方法についてより一層工夫をしなければならない。」

 

 

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