【物流業界の歴史】西濃運輸・福山通運・日本運送に大和運輸(現在のヤマト運輸)が参戦!東海道路線の覇権争い

【物流業界の歴史】西濃運輸・福山通運・日本運送に大和運輸(現在のヤマト運輸)が参戦!東海道路線の覇権争い
※画像はイメージです/PIXTA

コロナ禍、多くの人々が再認識した「物流」の重要性。日本経済を支える物流はどのような変遷を遂げながら、現在のネットワークを築き上げているのでしょうか。本記事では、戦後から高度経済成長期の物流の歴史を見ていきます。

わずか5年で「トラックの積載性能」が3倍に!

1950年代後半は、航空機による荷物の輸送が発展した時期でもあります。

 

多くの荷主から集めた小口貨物を、混載業者が大口にまとめて航空会社に輸送を頼む「航空混載」が始まったのが1955年6月。日本通運が混載業者を務め、日本航空の札幌―東京―大阪―福岡路線で実施されました。日本通運は、1945年に設置されたIATA(国際航空運送協会)の代理店の資格を取ったうえ、1958年から国際航空混載業務の取扱も開始し、短期間で世界的な航空混載ネットワークを構築しました。

 

陸路においても、全国各地で道路の整備が進むとともに、トラックの性能も向上し、貨物輸送の領域で競争が起きていました。特に、箱根の山を越えて東西をつなぐ東海道路線で運ばれる荷物が日に日に増え、「ゴールデンルート」と呼ばれるようになりました。

 

東海道路線には、西濃運輸株式会社、福山通運株式会社、日本運送などがトラックを走らせていましたが、そこに参戦したのが、大和運輸(現在のヤマト運輸)でした。それまで大和運輸は、関東一円を主戦場としており、東西間の輸送は国鉄の貨物列車に頼り切りでした。

 

その背景には、創業者小倉康臣の、関東を中心とした近距離小口輸送に対するこだわりがありました。もしかするとこのこだわりこそ、のちにヤマト運輸が「宅急便」を推進していく原動力となったのかもしれません。

 

大和運輸では、「箱根の山の向こうにはお化けがいるから越えてはいけない」といわれていましたが、それは1946年ごろ、自動車メーカーが試作した10トン車で箱根の山越えを試み、うまくいかなかったせいであるといいます。しかしそこから、道路事情が急速に改善し、トラックの性能もぐっと上がってきたため、ゴールデンルートへの進出を決めたのでしょう。

 

なお、東海道路線で荷を運ぶためには、免許を申請する必要がありました。当時、大和運輸を皮切りに、当時24もの業者が免許を申請し、20社が免許を取得、全国でも1、2を争う激戦路線となりました。

 

1950年代には、水力発電用のダムや石油化学コンビナートといった大型開発がいくつも行われました。巨大な資材を運ぶには、トラックも相応のサイズでなければいけません。そこで導入が進んだのが、トラクター(けん引自動車)とトレーラー(けん引される貨物車)でした。1954年には120トンのトレーラーが登場、以来毎年積載性能が上がり、1959年には300トンの荷を運べるようになりました。

 

300トンクラスのトレーラーともなると、積み荷を載せればもはや巨大な建造物といった印象です。

 

「こんなに大きな車が、この世にあるのか……」

 

地響きと砂埃を立てながら走るその姿を見上げ、当時の人々はさぞ圧倒されたでしょう。

 

 

鈴木朝生

丸共通運株式会社 代表取締役

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は、鈴木朝生氏の著書『物流の矜持』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

物流の矜持

物流の矜持

鈴木 朝生

幻冬舎

大正3年、まだ大八車や馬車が物流の主な手段だった時代から、地域とともに歩み、発展を遂げてきた丸共通運。その歴史から、物流業界の変遷、日本の発展を振り返る。 丸共通運は大正3年に創業し、まだ大八車や馬車が物流の主…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録