「客である自分の立場が上」という勘違いをさせない
・互いにとって利になる話なら、対等で当然
お客さまがやってきて、それこそ賽銭箱に入れるようにお金だけをただ置いていってくれたなら、あるいは「神様」に思えるかもしれません。しかし商売では、売り手は相手に対して商品やサービスを提供しています。
買い手は対価を支払い、それを自分のものとします。一方通行の利益ではなく、相互利益の関係にあるのです。したがって本質的には、売り手と買い手は対等の立場といえます。
一流の営業マンは、そのことをよく理解していますから、お客さまを大切にこそすれ、媚びへつらったり、へりくだったりはしません。私が属する保険業界でも、まったく同じです。
仮に自分がお客さまとなった場合、こちらのいうことをすべて肯定し、持ち上げるばかりで、はっきりした提案もアドバイスもない営業マンを、果たして信頼できるでしょうか。
お客さまに対して将来の安心や不慮の出来事に対する保障というかけがえのないものを提供するのが、保険の営業マンの仕事であり、売れる営業マンほど自分の仕事に誇りと自信をもっています。
お客さまの将来設計にフィットした商品を販売することが相手にとって大きな利益になると考えていますから、「どの商品でもいいから、何とかお願いして買ってもらおう」というへりくだった発想がそもそもありません。
だからこそ、いつも堂々としていられるのです。私の経験からいうと、営業のアポイントというのはとにかく邪険にされがちです。時間にルーズだったり、約束を守らなかったりするお客さまがたくさんいました。
それは結局のところ「営業マンより客である自分の立場が上」という勘違いから来ているのだと思います。一度や二度ならまだしも、約束違反が何度も続き、相手が明らかに上から目線であると感じた際、私ははっきりと伝えています。
「売り手と買い手は、対等です。私はプロとして、お客さまのライフプランや考え方に合わせ、将来への備えを万全にするお手伝いができます。もしそこに価値を感じていただけるなら、お話を続けましょう。逆にご興味がないなら、私と過ごす時間にはなんの意味もありませんので、お互いにとって不利益になりますから、ここで終わりにしませんか」
このように言葉で書くとやや冷たい印象ですが、私は自分のためにいうわけではなく、約束や時間を守らない相手の将来を思って、言っているつもりです。
そんな気持ちが伝わるのか、はっきりと指摘してもむしろ「こんなことを言ってくれる営業マンは今までいなかったのでありがたい」と感謝され、絆が深まり、以降はスムーズに商談が進んでいくケースがほとんどです。
お客さまを神様として祀り上げることなく、対等の立場で、互いにとって利益のある話をしていく─。これが、売れる営業マンがやっている鉄則の一つです。
笹村 敏夫
Live to Relief株式会社
代表取締役
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