ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

毎週、土曜日をリハビリの日に設定したワケ

ただ主治医にはリハビリを希望した。歩くまで回復はしなくても良いけれど車いすに移乗するときは、支えながらも自分の足で踏ん張れるようになってほしいから。また依頼には別の理由もある。車いすになると母との外出の機会が減ってしまうだろう。自分も外に連れて行くのが面倒になるかもしれない。

 

リハビリを外出のきっかけにしたい。この義務を自分に課すためでもあった。毎週、土曜日はリハビリの日としている。でも、雨の日は休憩だ。そんなとき、朝、雨が降っていると喜んでしまう自分もいる。

 

母が圧迫骨折や肺炎で入院したときは、夕食の時間に間に合うように定時で帰宅をしていた。食事はひとりの看護師や介護士が車いすの2〜3人を前に座らせ同時に順番に食べさせている。まるで親鳥がひなに餌を与えているようだ。だが、職員人数は限られているし、食べさせてもらえるだけありがたいと思わなければならない。だが、時間には限度があるのか食べないと食欲ないの? と片付けられてしまうことも多いようだ。

 

もともと、もったいないと思ってしまう性分なのと、やはり人間は口から食べるというのが大切だと思っているのでなるべく完食を目指し、自分が食事介助を行うことにしたのだ。困ったのは、続けることによって病院から夕食の介助は家族がやってくれると期待されすぎてしまったことだ。

 

もちろん、定時を心がけるが帰れないときもある。30分遅れても、そのままの状態で食事が置かれている。時間がたつと細菌も増えるし何よりも母もお腹がすいてしまう。一言、「来られないときは食事の介助をよろしくお願いします」と伝えた方が良いことを痛感した。

 

圧迫骨折をしてから、右手を曲げようとすると痛がるようになった。ケアマネージャーからマッサージを勧められたので利用してみることにした。月、水、金の週3回で施設にいるときに対応してもらえる。母は小規模多機能の中でも手がかかる方だと思う。家族としても多少は申し訳ないという気持ちがある。

 

本来なら施設入居するレベルなのに私の希望で在宅を続けているからだ。そんなことを考える必要はないのかもしれないが、介護相談員で入居施設を見ているが故に、絶対にうちの母のお世話の方が大変だと感じた。私は毎日のことで麻痺しているが、外出先では必ず大変ねと言われ、病院でもこの状態で在宅介護なの? と驚かれることが多い。

 

そんなこともあり、職員さんが一時でも母と離れる方が良いのではと思ったのも事実だ。そんな理由で始めたマッサージであったが、小さな変化があった。独語が復活し、寝かせながらのズボンの着替えの際、おしりを上げて無意識にも手伝ってくれるようになったのだ。

 

血色が良いですねと言われることも増えた。医療保険で月4000円ほど。使って良かったサービスだ。※リハビリ(介護保険)と訪問マッサージ(医療保険)は保険適用で併用できます。介護保険の点数を使わずに利用できます。リハビリの利用回数が足りないと思ったときも検討してみてください。


 

渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表

 

 

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プレジデント社

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