「保育園の延長だった」かつてのリハビリ施設のつらすぎる実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

リハビリは、利用者の心に希望を持たせるところから始まる。その信念をもとに訪問看護ステーションを開設した筆者は、民家を使用した「リハビリが受けられるデイサービス」もスタート。じつは、当時の一般的なデイサービスに筆者は大いに疑問をもっていました。高齢者をあたかも幼児のように扱い、歌やお遊戯といった、保育園のようなプログラムを実施するところばかりだったからです。

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介護保険の誕生で弾みがつき始めたリハビリ事業

介護保険制度ができる前までは、利用者を治療した報酬は、病院に支払われる診療報酬が中心でした。しかし、2000年の介護保険制度によって、介護に関わる報酬が切り分けられ、リハビリも介護報酬のなかに組み込まれるようになったのです。

 

介護保険が導入された年、筆者は訪問看護ステーションを開設しました。この開設には、事業所名をめぐってひと悶着があったのです。介護保険制度施行の前年には開設申請の受付が開始され、私も勇んで申請を行いました。

 

通常は3ヵ月、遅くとも半年で認可がおりるはず。しかし私の場合は9ヵ月もの期間を要したのです。実は、申請した事業所名「創心会訪問看護リハビリステーション」のリハビリという文言が、議論をよんだのです。私は理念の訴求と、周知のために「リハビリ」という文言は譲れない、と応酬を繰り広げました。

 

しかし結局、譲らない限り認可はもらえないということになり、名より実をとるという形になりました。正式に事業所名にリハビリを入れることができるようになったのは、2014年のことです。

 

そのころ、岡山県内で訪問看護リハビリ事業を行っていたところはほぼありませんでした。

 

ところが地域の利用者は、介護保険導入と同時に急増していきました。

 

私たちの活動も徐々に知られるようになっていきました。

 

それまでは、身体が不自由になっても、自宅でお風呂に入るための訓練や治療、リハビリをしてくれるサービスはありませんでした。ところが私たちが家庭でもリハビリを行うことによって、日常生活の動きが1人でスムーズにできるようになる人が少しずつ増えてきたのです。

 

事業所名にリハビリを盛り込むことはできませんでしたが、私たちのサービスが風の噂で広がることによって、自立のためのリハビリ自体の啓発活動にもなりました。

 

実際に療法士にちょっと来てもらって身体を動かしてもらうことで、筋肉がこんなに強くなるんだとか、ベッドの配置を変えるだけで、自分でベッドへ移動し寝起きできるようになったとか、ポータブルトイレを変えるだけで、自立して生活できるようになったという事例が増えてきたのです。

 

それまで利用者は、お風呂やトイレに1人で入れない、家のなかを自由に動き回れないという不自由な生活を年齢や病気、後遺症のせいだからしょうがないと諦めていたのです。

 

リハビリがいいと知っていても、病院に行かなければ受けられない。病院に行くには家族の付き添いも必要だし、毎回外来の受付で並んで、長時間待たされ半日仕事になってしまう。そういう状況でした。それでは行きたくないというのが一般的だったのです。

 

私はそんな利用者や家族を取り巻く状況に目を向け、訪問看護リハビリで一人ひとりの家庭を回るだけでなく、リハビリを受けに来てもらうことで、さらにより多くの利用者を救いたいと、民家を使用したデイサービスも始めることにしたのです。

 

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株式会社創心會 代表取締役

1965年生まれ、愛媛県出身。作業療法士養成専門学校を卒業し、精神科病院で作業療法士として勤務。その後、リハビリは病院などの医療機関で行うことが当たり前だった時代に、民間企業で訪問リハビリの取り組みを始める。

1996年に創心会在宅ケアサービス(現:株式会社創心會)を創業。退院後のリハビリが十分に行き届かず次第に悪くなっていく寝たきり高齢者が多くいることに問題意識をもち、介護とリハビリを融合させた「本物ケア」を確立。

現在は、訪問・通所・入所サービスを展開し、岡山県を中心に36拠点75事業所(2021年4月時点)をもつ。さらに日本の在宅医療・介護の在り方を見据え、農福連携による就労支援や、障害児の発達支援をはじめ、常に新たな取り組みに挑戦し続けている。

著者紹介

連載介護とリハビリの融合…「本物ケア」を目指す作業療法士の業界改革メソッド

本物ケア

本物ケア

二神 雅一

幻冬舎メディアコンサルティング

「寝たきり」や「リハビリ依存」の高齢者。必要以上のサポートを行う過度な介護が、高齢者から身体機能回復のチャンスを奪い、自立を妨げているのです。 20余年にわたり介護業界で活躍してきた著者が掲げる「本物ケア」は、…

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