不動産市場に流通している物件のうち「4割」は非公開
これまでの連載であげてきた不整形地にせよ、旗竿地にせよ、借地権物件にせよ、安価な土地を手に入れるためには、「非公開物件」を探すのがもっとも効率的な方法となります。
そもそも、不動産市場で取引されている土地は、大きく、公開物件と、非公開物件のふたつにわけることができます。
公開物件とは、誰でもインターネットや新聞の折り込みチラシなどでその情報を見ることができ、どの不動産仲介業者でも紹介できる物件です。一方、非公開物件とは、その名の通り、一般には公開されていない物件のことです。
宅建業法では、不動産の売主と専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を結んだ不動産業者に対して、売却依頼を受けた物件の情報を、所定の期間内にレインズに登録することを義務づけています。
レインズとは、不動産情報を交換するためのコンピューターネットワークシステムです(旧建設省主導の下で、スムーズな不動産取引を促すことを目的として整備されました)。
このレインズに登録され、他の仲介業者にも自由にホームページやチラシなどで公開することが許されている土地が、公開物件となるわけです。
もっとも、この公開物件の数は、不動産市場に流通しているうちの6割程度といってよいでしょう。残りの4割は、一般の人の目には触れない非公開物件なのです。
公開物件に優良な物件が少ない理由とは?
そもそも、不動産業者の多くは、土地の売却を依頼されると、まずは自社で買い取れるかどうかを検討するか、あるいは自分たちの顧客や関係が深い別の第三者に紹介するのが通常です。
それでも売れなかったときに初めて、公開物件となってインターネットなどを通じて広く一般の人々に提供されることになるのです。
しばしば、「公開物件にはほとんど優良な物件がない」「優良物件があったとしても、少ないのですぐになくなってしまう」などと言われることがありますが、その背景には、このような不動産取引におけるいわばクローズドな取引慣習があるのです。
一方、非公開物件は、情報をえた不動産業者が、「つきあいの長い優良顧客や、自社のホームページの会員となった特定の顧客のみに情報を流す」といった方法を取るのが一般的です。
そのため、不特定多数の人が目にする不動産業者のホームページやチラシに、非公開物件の情報が載ることはありません。非公開物件は、ごく限られた数の人しか知ることができないのです。
この話は次回に続きます。