購入物件の雨漏りで「瑕疵担保責任」が問えない!?
中古物件には、いったいどのようなリスクがあるのでしょうか。第一に指摘したいのは、「瑕疵担保責任を追及できない瑕疵」の存在です。まずは、具体例からご紹介しましょう。
筆者が、現在サポートさせていただいているお客様の中に、不動産業者を通じて世田谷区の下馬にある築30年の5階建て一棟マンションを9800万円で購入された方がいます。
その方がオーナーとして物件の運用を始められてからしばらくすると、最上階で雨漏りがするようになりました。しかも、漏れた水は、5階だけでなく、4階、3階……2階の天井にまで達していたのです。
原因を調査すると、ユニットバスに問題があることがわかりました。洗面所、トイレ、風呂がセットになった、いわゆる3点ユニットと呼ばれるタイプのものです。
結局、修理のしようがなく交換する運びとなったのですが、同サイズのものはすでに流通していません。そのため、造作でつくらざるを得ず、水漏れの後始末と合わせて高額の出費を余儀なくされることになりました。
このような瑕疵は、民法などで定められている瑕疵担保責任を追及するために必要な要件を満たしていないことが多いので、自腹で負担しなければならないのです。
大規模修繕で予想外の出費を強いられるケースは多い
ちなみに、中古物件では配管ルートが設計当初の図面と施工図面と実際の建物とで違っていることがよくあります。そのため、雨漏りがあった場合、原因を突き止めることが難しいケースが少なくありません。最悪の場合、建物自体を解体するまで、問題を根本的に解決できないということもあります。
また、雨漏りのような大きな欠陥とまではいかなくても、賃借人が部屋を退去した時点で、オーナーが改めて部屋を確認してみると、想像していた以上に汚れや傷みがあることに気づき、全面的にリフォームが必要になることもあります。
入居者が退去するたびにリフォームを繰り返すことになれば、家賃収入はその費用に消えていくだけ・・・ということになりかねません。
さらに、今の新築物件ではあまり目にしなくなりましたが、ひと昔前の中古物件だと、貯水槽が屋上に設置されていることが多く、その清掃や維持管理に多額の費用がかかる可能性があります。
それから、もうひとつ要注意なのが、エレベーターです。古くなったエレベーターは大規模な修繕が必要です。
そのためのコストとして、6〜9人乗りのタイプであれば、400万〜500万円の出費は覚悟しておいた方がよいでしょう(そのため、私どもがプロジェクトを組む物件では基本的に5階建て以上でなければエレベーターは設置しないようにしています)。
このように、中古物件では大規模な設備の修繕などに予想もしていなかった出費が強いられることが多々あります。買ったあとに、「まさか、こんなにお金がかかるとは思わなかった・・・」と悔やんでも、あとの祭りです。