「勇気を出して定時で帰ってしまえばいい」
現場監督を始め、サラリーマンの場合は、労働基準法や会社の就業規則に定められているように、1日の労働時間が会社ごとに決まっているけど、これも本来は時間を守ることが重要なはずだ。むしろ、求められている成果を達成できるのであれば早く帰ってもいいくらいではないかと僕は考えている。
残業代ではなく、早退代にした方が生産性も上がるのではと本気で考えたこともある。
僕は経験したことはないけど、ゼネコン時代の噂で、ある支店にとても優秀な所長がいて、予定工期よりも早く竣工させてしまうと聞いた。発注者企業からすれば、予定よりも多く準備期間をとることができるし、ゼネコン側としても経費がかからない分当初予算より利益が出る。まさに三方よしの現場運営だ。その所長は最年少で人事考課の最高評価を受けたそうだ。
だから、労働者としても、ちゃんと働く時間を守ることを前提にした上で、求められる業務成果を出すことに目標をフォーカスした方がいい。残業を当たり前と思ってしまっている人にとっては、定時で帰ることに最初は抵抗があると思う。これをやっておかないと明日が怖い、というような強迫観念にかられることもあるかもしれない。
だけど、一度割り切ってやってみると、今日やっても明日やっても大差ないような仕事は結構あるものだ。とりあえず目の前の仕事がたまっていても、「時間を守る」という大義名分のもと、勇気を出して定時で帰ってしまえばいい。
そうやっていくと、確かに、昨日やっておかないといけなかったようなことも時には出てくると思う。そこはトラブル大歓迎の精神があれば乗り越えられるし、それは本当にやっておかないといけなかったという「正解」に気づくことができたと思えば、一歩前進だ。
積み重ねていけば、周りに流されない自分なりの軸で判断できるようになってくる。大事なのは、こういったことを常に自分に問い、今やる必要があるのか、やるとしたら何のためにやるのかといったことを考え続けることだ。そういう思考を止めない姿勢が、やがてムダのないスマートゼネコンマンを作り上げる。
*****************************
中根 義将
福井大学卒業。新卒入社した株式会社大林組にて、2011年に発生した東日本大震災の復旧工事を中心に、7年間にわたり現場監督として活躍。復興活動に携わる中で、地元・神戸市に恩返しをするのが使命と悟り、2015年に祖父の代から続く株式会社白川工芸社へ。2017年、同社代表取締役就任。大林組時代に培ったマネジメント力をもとに「人を活かした経営」、「建設業界の働き方改革」に取り組み、それまで三期連続赤字、債務超過であった同社を1年で黒字化。2年目には債務超過も解消し、V字回復を果たす。現在も「地域に愛される次世代の塗装店」を目指し、幅広い活動に取り組んでいる。 著書に『スマートゼネコンマン』(幻冬舎ルネッサンス新社)、『ペンキ屋の若旦那が教える仕事の流儀』(kindle)がある。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】