日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「世帯の負債」。都道府県ごとに見ていくと、地域性が見えてきました。

住宅ローン以外の借金が多い地域は?

前出の『家計調査』から、地域ごとに世帯の負債について見ていきます。貯蓄に対して負債の割合は、全国平均61.8%。一方、負債の割合が最も低いのが「福井県」で32.5%。裏を返せば貯蓄志向の強い地域ということができるでしょう。「富山県」35.6%、「沖縄県」38.3%、「長崎県」41.0%、「福岡県」43.3%と続きます。

 

一方で、貯蓄に対して負債の割合が最も高いのが「愛媛県」で127.2%。「青森県」125.8%、「鹿児島県」112.2%と続き、上位3県は、100%超えで、貯蓄以上に負債が多い地域です。

 

■貯蓄額に対する負債額の割合

第1位「愛媛県」127.2%

第2位「青森県」125.8%

第3位「鹿児島県」112.2%

第4位「熊本県」97.6%

第5位「新潟県」96.8%

第6位「埼玉県」86.8%

第7位「石川県」86.5%

第8位「大分県」86.1%

第9位「宮崎県」86.0%

第10位「秋田県」82.6%

 

出所:総務省『2020年家計調査』

 

さらに負債額に対して、土地・建物のための負債額の割合を地域別に見ていきます。全国平均は92.9%。やはり住宅の購入費は巨額なので、38の地域で9割超。そのなかで最も割合が高いのが「兵庫県」で99.0%。負債のほとんどが住宅や土地にまつわるもので、それ以外ではほとんど借金をしていません。「三重県」97.2%、「東京都」96.4%、「大阪府」96.2%、「石川県」96.2%と続きます。「東京都」や「大阪府」などの大都市圏は、不動産価格の影響も少なからずありそうです。

 

一方、負債額に対して、土地・建物のための負債額が占める割合が最も低いのが「鹿児島県」で78.8%。平均1070万円の負債に対して、平均843万円が土地・建物のための負債です。「沖縄県」79.6%、「岡山県」82.3%、「千葉県」87.1%、「静岡県」88.2%と続きます。

 

鹿児島県民や沖縄県民は、負債の2割強が住宅以外の負債で、全国平均よりも10ポイント以上も多いという地域です。『家計調査』では、土地・建物のための負債か、それ以外の負債かの分類しかないので、その中身は想像するしかありません。住宅購入以外でお金が必要になる地域であることは明らかです。

 

このように『家計調査』を紐解いていくと、「世帯の負債」にも地域性があることが見えてきました。なお『家計調査』では都道府県ではなく、県庁所在地単位で調査を行っています。前出の結果は、地域の傾向程度に参考にしてください。

 

 

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