繁盛しているクリニックであっても、その内情にはトラブルを抱えているケースが少なくありません。しばしば見られるのが、人材の突然の退職やスタッフ間のトラブルといった労務問題です。診療にも深刻な影響を及ぼすリスクがあるため、院長の速やかな対処が重要です。※本記事は、『競合と差がつくクリニックの経営戦略』(日本医療企画、蓮池林太郎著)より一部を抜粋・再編集したものです。

スタッフが辞めて困るケース、辞めなくて困るケース

いままで開業医から数多くの相談を受けてきましたが、悩み事の深刻さに関しては人事がナンバー1です。開業医は、日々の診療が忙しいこともあり、「去る者を追わず」という姿勢で、できるだけ穏便にトラブルを済ませようとします。繁盛していてうまくいっているように見えるクリニックでも、人事ではトラブルを抱えており、その内情は外部には漏れてきません。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

スタッフに関する悩みは、大きく分けて2つあります。1つは急に辞めてしまって欠員が出ることにより他のスタッフの業務負担が重くなること、もう1つは業務遂行能力が低く他のスタッフとトラブルを起こす不良スタッフがなかなか辞めてくれないことです。不良スタッフがなかなか辞めてくれないと、他の優良スタッフが辞めていき、入職したばかりのスタッフも定着しない状態になりがちです。

 

不良スタッフには、次に挙げるようないくつかのタイプがあります。

 

 ①受付やレセプト業務の能力が足りない 

 

明らかに業務遂行能力がない場合は、トライアル勤務や試用期間中に判断する必要があります。能力が足りないスタッフがいると、他のスタッフの業務負担が重くなり、患者さんからクレームを受けることになります。

 

トライアル勤務は1回もしくは数回設けることがあります。1回のトライアル勤務でも給与が支払われるケースが多いですが、入職前に実際に働いてもらうことにより、働きぶりを知ることができますし、求職者としても職場環境を確認することができます。

 

トライアル勤務で双方が合意すれば、雇用契約を結び入職することになります。一方、3ヵ月や6ヵ月などの試用期間を設けて、試用期間終了後に本採用とすることがあります。

 

試用期間は必ず設けなくてはいけないわけではありませんが、試用期間を設けることにより、本採用前に辞めてもらいやすいことはあるでしょう。試用期間が2週間を経過したら、正当な解雇事由なく解雇することができなくなりますので、注意が必要です。

 

 ②やる気がなくて仕事をしない 

 

最初からやる気がない場合もあれば、徐々にやる気がなくなる場合もあります。やる気がなくて仕事をしない人がいると、一緒に働いている人もやる気がなくなる危険性があります。

 

 ③周りのスタッフとうまくいかない 

 

看護師や医療事務としての能力がいくら高くても、周りのスタッフとうまくいかない人は採用するべきではありません。面接では、他のスタッフとうまくいくかどうか人柄を見ます。しかしながら、面接で見抜くことができたら、採用について誰も困りません。

 

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競合と差がつく クリニックの経営戦略 Googleを活用した集患メソッド

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蓮池 林太郎

日本医療企画

医師である著者は、2009年に東京新宿で開業しました。競合クリニックがひしめく新宿において、決して立地に恵まれていたわけではないのに順調に経営ができてきたのは、患者さんがスマホでクリニック選びをする時代になり、その…

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