あらゆる情報源を駆使して、物件に関する情報を収集
私募ファンドで運用する不動産の選定・購入は、AM会社によって行われます。投資対象となる不動産を購入するまでのプロセスを時系列にしたがって具体的にみていきましょう。
まずは、購入候補となる不動産を探すことがスタートとなります。良質な不動産を見つけることができなければファンドの組成が困難となるので、不動産業者、信託銀行、土地ブローカー、会計士、税理士、弁護士などあらゆる情報源を駆使して、物件に関する情報を収集します。
購入を前向きに検討したいと思わせる不動産に出会ったら、次にアンダーライティング(投資分析)の作業を行います。
その不動産からどれだけのキャッシュフロー(賃料等)を得られるのか、また管理費等のコストはどのくらいかかるのか、利回りはどの程度になるのかなどを、自社の投資基準に照らし合わせて判断していきます。
アンダーライティングの結果を踏まえ、購入することを決めたら、価格その他の条件を売り手に提示しながら売買契約に関する交渉を行います(購入希望者が複数いる場合には、入札形式で買い手が決まる場合もあります)。
スタートからクロージングまでは約2~3カ月
売り手と買い手の間で売買に関する合意が一応成立したら、次にデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスとは、投資対象とする不動産に物理的、法律的、経済的な観点からみて問題がないか調査する作業です。
具体的には建物が建築基準法等のルールにしたがって適法に建てられているか、土壌に汚染物質が埋まっていないか、市況の現状からみて不動産の価格は適正といえるかなどをチェックします。
デューデリジェンスを通じて、不動産に何らかの問題があることが判明したような場合には、値段の引き下げを求めるなど、改めて価格や条件等について交渉を行うこともあります。
また、デューデリジェンスと並行しながら、AM会社が具体的にどのようなスキーム、ストラクチャーで不動産を運用していくのかを決めたり、銀行との間で購入融資に関する交渉を行ったりなどもします。
これらの作業を終えたあと最後に、売り主との間で契約書を交わしてクロージングとなります。スタートからクロージングまでに要する時間は、おおよそ2、3カ月といったところでしょうか。