前回までは、私募ファンドを組成する場合の3つの代表的なスキームについて説明しました。今回は、アセット・マネジメント(AM)会社が不動産を購入するまでのプロセスを見ていきましょう。

あらゆる情報源を駆使して、物件に関する情報を収集

私募ファンドで運用する不動産の選定・購入は、AM会社によって行われます。投資対象となる不動産を購入するまでのプロセスを時系列にしたがって具体的にみていきましょう。

 

まずは、購入候補となる不動産を探すことがスタートとなります。良質な不動産を見つけることができなければファンドの組成が困難となるので、不動産業者、信託銀行、土地ブローカー、会計士、税理士、弁護士などあらゆる情報源を駆使して、物件に関する情報を収集します。

 

購入を前向きに検討したいと思わせる不動産に出会ったら、次にアンダーライティング(投資分析)の作業を行います。

 

その不動産からどれだけのキャッシュフロー(賃料等)を得られるのか、また管理費等のコストはどのくらいかかるのか、利回りはどの程度になるのかなどを、自社の投資基準に照らし合わせて判断していきます。

 

アンダーライティングの結果を踏まえ、購入することを決めたら、価格その他の条件を売り手に提示しながら売買契約に関する交渉を行います(購入希望者が複数いる場合には、入札形式で買い手が決まる場合もあります)。

スタートからクロージングまでは約2~3カ月

売り手と買い手の間で売買に関する合意が一応成立したら、次にデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスとは、投資対象とする不動産に物理的、法律的、経済的な観点からみて問題がないか調査する作業です。

 

具体的には建物が建築基準法等のルールにしたがって適法に建てられているか、土壌に汚染物質が埋まっていないか、市況の現状からみて不動産の価格は適正といえるかなどをチェックします。

 

デューデリジェンスを通じて、不動産に何らかの問題があることが判明したような場合には、値段の引き下げを求めるなど、改めて価格や条件等について交渉を行うこともあります。

 

また、デューデリジェンスと並行しながら、AM会社が具体的にどのようなスキーム、ストラクチャーで不動産を運用していくのかを決めたり、銀行との間で購入融資に関する交渉を行ったりなどもします。

 

これらの作業を終えたあと最後に、売り主との間で契約書を交わしてクロージングとなります。スタートからクロージングまでに要する時間は、おおよそ2、3カ月といったところでしょうか。

本連載は、2016年3月28日刊行の書籍『ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

小山 努

幻冬舎メディアコンサルティング

投資で資産を増やさなければ、将来の見通しが立たない――。 一般のサラリーマンの間でも、企業や社会保障に頼らずに資産をつくるしかないと、「貯蓄から投資へ」向かう傾向が強まっています。 本書では、理想先な投資先とし…

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