前回は、クラウドファンディングを利用する不動産ファンドへの投資方法を説明しました。今回は、匿名組合契約による不動産ファンドの仕組みについて見ていきます。

分配金は一般的に雑所得で「確定申告」が必要

LCLRファンドに投資して利益を得た場合には、どのような形で税金が課されることになるのでしょうか。

 

まず、分配金については、源泉徴収税があらかじめ差し引かれています。この源泉徴収税額は、投資家の支払うべき所得税の前払いとして、LCレンディング社が納付します(納付された源泉徴収税額は、確定申告により計算した所得税から控除することができます)。

 

また、支払いを受けた分配金(匿名組合分配益)は一般的に雑所得に該当するので、確定申告を行う必要があります。

 

ただし、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下の場合には、原則として申告義務はありません。なお、雑所得の場合は他の所得と損益通算はできません。

 

また、確定申告義務がない場合でも、確定申告をすることにより還付を受けられる場合もあります。還付を受けられるかどうかは他の所得の金額等にも左右されるので、詳細については所轄(または最寄り)の税務署などに確認してください。

「匿名組合契約」の法律的な意味を確認する

先に述べたように、LCLRファンドに投資する人とLCレンディングとの間では、匿名組合契約が結ばれることになります。それによって、両者の間に、法律上、どのような関係が生まれることになるのかを最後に確認しておきましょう。

 

匿名組合契約とは、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約束して「匿名組合」を設立する契約です(出資をする者が外部からは分からないことから「匿名組合」の名が使われています)。

 

また、出資をする者を「匿名組合員」、出資を受け営業を行う者を「営業者」といいます。LCLRファンドへ投資する人は前者に、LCレンディングは後者になるわけです。匿名組合員の立場からは、匿名組合契約に関して以下のような点に留意しておく必要があるかもしれません。

 

①匿名組合員は出資の義務を負います。

 

②匿名組合員が出資した財産は、営業者の財産となり、匿名組合員は持分と処分権を持ちません。

 

③匿名組合は、対外的には営業者の単独事業となります。匿名組合員は利益の分配を請求する権利や出資額を返還請求する権利を持つにすぎません。

 

[図表]匿名組合契約の仕組み

本連載は、2016年3月28日刊行の書籍『ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

小山 努

幻冬舎メディアコンサルティング

投資で資産を増やさなければ、将来の見通しが立たない――。 一般のサラリーマンの間でも、企業や社会保障に頼らずに資産をつくるしかないと、「貯蓄から投資へ」向かう傾向が強まっています。 本書では、理想先な投資先とし…

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