日本には、発展する会社より衰退する会社のほうが多い
――日本人の投資信託嫌いをなんとかしたいとのことですが、投資家には色々な選択肢があると思います。そのなかで、御社のような買いと売りを組み合わせた「ロングショートファンド」は、今後どのようになっていくと思われますか?
どうしても、ヘッジファンドというと、ファンダメンタルズを無視して相場を仕掛けることによって利益を得ている、と誤解している人がまだまだ多いと思います。特にショート=投機的と捉える人が多く存在していることも事実だと思います。実際、欧米の一部のヘッジファンドには投機的と思われるような戦略もありますが、私たちとはまったく異なる運用手法だと思います。
また、買いだけ、つまりロングオンリーのファンドであれば、アメリカ株を資産として保有することは有効です。アメリカの経済はずっと発展している上、人口も増え続けていますので。
それに対して、日本経済は衰退し、人口も減っているので、株価が右肩上がりというのは期待できません。日本株のなかにはもちろん、新しく出てきて発展する会社もありますが、衰退する会社もあります。
新興企業は既存の企業よりも規模が小さく、一般的には知名度が低いのが実情です。しかし、その発展する会社は、私たちが得意とするIT・インターネットセクターから出てくることが多いです。
また、右肩上がりの経済の国に投資しても、株価の変動リスク以外にも、為替リスクや時差による機会損失の恐れなど、様々なリスクを考慮する必要があります。
このように、決して右肩上がりではない日本の株式市場では、買いと売りを組み合わせた私たちの「ロングショート」のような、相場全体が上下どちらに進んでも利益を残すようなファンドが、今後求められるのではないかと考えております。
そのなかで、私たちは、自分たちにしかできないディープリサーチを徹底し、まだ一般の人には馴染みのないような新しい会社でもいち早くキャッチして、運用パフォーマンスを高めてまいります。
また、今までの投資信託のように短期的なパフォーマンスを追求するのではなく、中長期的な視野でパフォーマンスを高めるような運用していかなければならないと思っています。
お客様の信頼の証である「預かり資産」の増加が目標
――最後に、現在運用しているファンドの将来の目標を教えてください。
私たちはお客様の財産を守る「資産保全」を第一に考えています。日本は長期に渡ってデフレが続いており、お金を単純に銀行やタンス預金していても何も問題はありませんでした。
デフレ下の日本経済においては、ある意味、仕方のないことだったかもしれませんが、そのようなマインドが染みついたのは、魅力ある運用商品をお客様にお届けできなかった私たち運用会社にも責任の一端があると考えています。
そのため、私たちが魅力的な運用をお客様に提供することによって、AUM(資産運用残高=ヘッジファンドでは預かり資産)が結果として大きくなっていけば良いと考えています。なぜなら、ヘッジファンドとしてお客様にきちんとしたリターンを返すために必要なことだからです。
私たちは、お客様の資産をお預かりしている身ですので、当然、リスク管理はしっかり行わなければならないのですが、これには多額の経費がかかります。これを改善するには、シンプルに会社のアセット(=資産)を積み上げることが最も重要です。
それに加えて、AUMの増加は、マーケットにおけるヘッジファンドの「プレゼンス」の向上を意味します。企業への取材や情報収集などにおいても、マーケットにおける存在感はとても大切です。パフォーマンスを高めるためにも、AUMを積み上げていくことは必須なのです。
日本株運用の多くは外国人の手中にあります。外国人はおろか日本人でさえ、日本の運用会社を信用して資産を預けていない現実もあります。そのようなかで、日本株の運用は日本の運用会社に任せていただけるよう、「日本株の運用であればオリオール・アセット・マネジメント」と言われるような存在になりたいと思っています。
そのためには、運用パフォーマンスを高めて、お客様に信頼してもらうことが何よりも大切です。そうすることで結果的にAUMも大きくなり、大切な資産を預けていただいたお客様にも還元できると思っています。
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