現在、公的年金だけで暮らす高齢者の数は全体の約半数にのぼるといわれています。限られた年金や預貯金で暮らすには、現状を把握し、正しい知識でお金を節約したり増やしたりすることが大切です。今回は、老後のリスクについて考えていきます。※本連載は、岩崎博充氏の著書『「年金20万・貯金1000万」でどう生きるか - 60歳からのマネー防衛術 -』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

老後の3大リスク…「年金減額」「増税」「インフレ」

もちろん、前述のように公的年金制度の変化だけが老後のリスクではありません。激しいインフレや消費増税、あるいは日本経済の大きな変革によっても、老後の生活は大きな影響を受けます。どんなリスクがあるのか。まずは、整理しておく必要があります。大きく分けて次の3つが考えられます。

 

①年金の減額

②増税、医療費、介護料の負担増加

③インフレ

 

これらのリスクの中で、最も現実味の高いのが①の年金給付額が減ることです。2019年の財政検証でも、最悪のシナリオでは年金給付水準が現役世代の35~37%程度になるとされています。

 

現在の公的年金の給付水準が現役世代の平均収入の6割とすれば、現在の約半分程度になる可能性があるのですから、今までのようには暮らしていけないかもしれないということです。現役世代の平均賃金の6割を超えた水準を維持しているため、現在の高齢者は比較的豊かと言えますが、今後この豊かさが維持できるとは考えにくくなってきます。

 

②の増税や社会保障費の負担増も避けられないリスクの一つです。日本は、いまやGDPの250%相当の財政赤字を抱えているわけですから、将来的にそれを返すためには、さらなる消費税増税や社会保障費の負担増は避けられません。

 

財政赤字が国民の将来にどんな影響をもたらすかは明確にはわかりませんが、財政赤字は膨らむ一方であり、現在の政府年間予算の3分の1は発行している赤字国債の償還や利払いに使うお金です。

 

高齢者がどんどん増えて、年金の財源が枯渇するようなことになったときに、政府が税金を使って、破綻を阻止してくれるといったシナリオは期待できなくなります。結局、自己責任で何とかしなくてはいけないことになります。

 

③のインフレも、もちろん避けられないリスクです。

 

どのシナリオに帰着するにせよ、最終的には自己責任で何とかするしかありません。老後の収入を考えるときには、現在でも半分以上の人が依存している「公的年金」の安全性については、注意深く見守る必要があります。

 

公的年金による収入が大きく減ったら、その分をどうやって補塡すればいいのかをあらかじめ考えておいてほしいと思います。

 

本来であれば、国家破綻や戦争についても備える必要があります。日本人は戦後見事なほどに平和ボケしてしまい、究極の事態に対応することを忘れてしまっていますが、少なくとも海外に口座を作って資産を移しておく、あるいは仮想通貨(暗号資産のひとつ)など、日本円の動向と関係のない資産を保有するなど、準備はしておくべきかもしれません。

 

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「年金20万・貯金1000万」でどう生きるか - 60歳からのマネー防衛術

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岩崎 博充

ワニブックス

麻生大臣の「年金だけでは2000万円足りない」発言以来、一人歩きを続ける「老後2000万円問題」だが、なぜ足りないのか、本当に足りないのか、いや2000万円で足りるのか、どれも「はっきりわからない」という人のほうが多いので…

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