1億円の預貯金があっても、安心はできない
資産の防衛、不足分の補塡方法として考えられるのは6つ。
①自分で働いて生活費を稼ぐ
②預貯金を取り崩して不足を補う
③資産運用による収益で不足を補う
④不動産の家賃収入などで不足を補う
⑤預貯金の利子、株式配当等で収入不足を補う
⑥保有する資産を現金化する
まずは①の「自分で働いて生活費を稼ぐ」方法ですが、これは年齢や健康状況によって極めて不安定です。80歳になっていきなり生活費が足りないから働くといっても限界があります。
②の「預貯金を取り崩して不足を補う」方法ですが、問題は公的年金が通用しなくなるような時代に、貨幣価値が変化していないかどうかということ。1億円の預貯金があったとしても、10年後に半分の価値しかなくなっている可能性もあります。
また、自分の寿命があらかじめわかっていれば簡単ですが、どの程度預貯金を用意しておけばいいのか、満足できる金額はどの程度なのかは、これまた極めて不透明と言えます。
定年退職前後の資産運用は「減らさないこと」が大事
③の「資産運用による収益」はどうでしょうか。資産運用といっても目的は貴重な老後資金の防衛とサバイバルですから、もちろんハイリスク・ハイリターンを狙うものではありません。老後のための資産作りには2つの意味があります。
一つは、若いうちから老後資金を蓄える資産作り。そして、もう一つは、長い老後期間に資産の目減りを防ぐための「資産防衛法=マネーサバイバル」です。
ここでは退職金を含めて1000万~2000万円程度の資産はある、あるいは定年退職後にこのくらいの蓄えが残るだろう、という人を対象としてアドバイスしてみます。
定年前後の世代にとって必要なのは「今から貯める」「今から増やす」よりも、「これ以上減らさない」ことです。
現在60歳代の人の平均的な貯蓄額(=資産額)は、金融広報中央委員会の調べによると1849万円(「家計の金融動向に関する世論調査」/2018年)という結果が出ています。
ちなみに、これは貯蓄がゼロの人も大富豪も含む平均値であって、最も多くの人が持っている金額「中央値」は、60代の場合、1000万円です。
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