「決められたことだけをやっていれば良い」の恐ろしさ
例えば後進を育成するのに、あなたが育った時間と同じ時間がかかるならば、その方法を選ぶわけがない。将来予想される労働人口の形は、確実にあなたが膨大な時間をかけていまの知識レベルになった以上の効率化を追求することを助言している。
テクノロジーの進歩もある。数人の社員で一台のパソコンを共有していた時代、役所に提出する膨大な資料を手で書いていた時代ではない。
いまの若い世代は、あなたよりもはるかに刺激的なテクノロジーを受け入れることに寛容である。そういう人達を1日も早く現場レベルのリーダーに育成するために何をしなければならないのか。
誰なら、一番効率よく人を育てることができるのか。
誰なら、現行の仕組みを更に効率的にするためのアイデアを出してくれるのか。
誰なら、暗黙知を形式知にしてくれることができるのか。
誰なら、自分たちの組織以外でやられているアイデアを調査・分析して、導入することを提案してくれるのだろうか。
自分たちは、いま決められたことだけをやっていれば良いと思う人が多ければ多いほど、ノウハウは、日々見過ごされていく。効率化を重視して、分業が進んでいく代わりに、もっと効率の良いアイデアや、ノウハウを形式知にする工夫への興味は薄れていく。
専門性やスキルは人が高めることができる最も重要な武器であり、ノウハウは、その武器の効果を何倍にも変えるヒントになるのである。
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冠 和宏
株式会社アセントデベロップメントサービス
取締役副社長 兼 開発本部長
20年以上、医薬品の研究開発に従事。これまで第一三共株式会社およびファイザー株式会社にて日米の開発組織でキャリアを歩み、海外も含めた臨床開発の戦略立案業務全般に深く関与。
専門分野は、企業治験及び医師主導治験、そして組織マネジメント、戦略構築から治験オペレーションと幅広く、学術面でもレギュラトリーサイエンスのエリアで幅広く活躍中。
現在は、自ら設立した法人を通じ、臨床開発・組織及び人材開発の専門家としてコンサルティング業務に従事。現職に加えて、2019年7月より株式会社アセントデベロップメントサービスの取締役副社長兼開発本部長を兼任している。
また、厚労省ベンチャーサポート事業のサポーターやアカデミア組織の客員講師などの兼任、更に製薬業界の業界団体にあたるDIA Japan にも所属し、2018年はDIA日本年会のVice ProgramCommittee Chairを務め、また2019年より人工知能とデジタル技術の利活用にフォーカスしたシンポジウム(Cutting edgeシリーズ)のプログラム委員長を務めている。
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