いま、弁護士や税理士などの士業は過渡期を迎えようとしています。「AIに仕事が奪われる」との声も……。しかし、士業のすべてなくなるわけではなく、人間にしかできない仕事がまだまだあります。AIやITなどの技術革新が続くなか、士業の仕事に付加価値をつける方法を税理士、公認会計士、心理カウンセラーとして活躍する著者が明らかにします。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

セミナーで必要な課題解決能力の高さと人間性

セミナーの集客ルート

 

次に、こういった訴求をどのような形で行うかについてですが、まずホームページ、ブログ、SNSに掲載する方法があります。また、新たにセミナー告知用のページを作り、ウェブ広告を打ったり、メルマガで紹介するなどして、このページにアクセスを集める方法もあります。

 

これらのウェブ媒体で能力の高さや人間性、人柄を表現し、関心を持ってもらえたとしても、問い合わせをしたら売り込まれるのではないかという懸念があるため、直接業務の問い合わせをすることはハードルが高いといえます。そのため、「ウェブ→業務の問い合わせ」という流れから、「ウェブ→セミナー→個別相談」の流れにすることでハードルが低くなり、結果として成約率も上がっています。

 

交流会や勉強会でお会いした人にセミナーの案内をする方法もあります。セミナーをご案内して、セミナーでレクチャーすることで、業務に高い関心を持っていただけるようになり、そこから継続的な相互協力関係につながった例も多くあります。

 

人前で話すのが苦手でも講師はできる

 

また、「大勢の人の前で話すのは苦手」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

私は今では年間250回ほどの講演をしていますが、もともとは監査法人で監査業務を黙々と行っていたので、人前で話す機会などありませんでした。独立後にゼロから自分で集客し、緊張と焦りの中で講師をして冷や汗を流すことも、うまく話せずに落ち込むこともありました。

 

それでも、講師としての力を磨くために試行錯誤を重ね、場数を踏むことで、少しずつ自信を持って講師ができるようになりました。大事なのはその一歩を踏み出すことで、失敗してもその原因を分析してPDCAを回すことです。失敗は糧となります。

 

大きな身振り手振りで立ち回ったり、会場を笑いの渦に巻き込んだりする講師もいますが、必ずしもそういった講師をめざす必要はありません。あくまでも目的はセミナー後に業務を受注することであって、笑いをとることではありません。あまりに話がうますぎると、逆に実務能力はどうなのかと懸念を抱かれる可能性すらあります。

 

このセミナーで大切なのは、課題解決能力の高さと人間性をお伝えすることです。話がうまくなくても、課題をどう解決するか、事例を交えて誠実に話しましょう。

 

藤田耕司
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー

 

 

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経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

藤田 耕司

日本能率協会マネジメントセンター

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