住宅を売却できない時代がやってくる?!
現在、日本の住宅事情は、一戸建ての割合が減り、マンションに代表される共同住宅の割合が増えているという傾向にあります。その理由としては、ライフスタイルの変化、セキュリティやメンテナンスの問題など、さまざまなことが考えられます。
不動産を初めて購入する層を「一次取得者」と呼びます。これまでは、一戸建てでもマンションでも、一次取得者以外を除いて、「それまで持っていた住宅を売却し、新しい住宅を購入する」というスタイルで買い換えをするのが一般的でした。
ところが、近い将来、買い換えを望んでいても、「住宅が売却できない=これまでの当たり前のスタイルが通用しない時代が来る」といったらみなさんは驚くでしょうか。
そこで、まずは私たちを取り巻く社会的な問題と住宅事情を見ていきましょう。
全国の空き家率「13.5パーセント」の厳しい現実
日本の人口が減少する、いわゆる「人口収縮」という問題が叫ばれるようになってから、すでに20年以上が経過しています。実際、徐々に日本の人口は減少していますし、かなり耳慣れた言葉になっているといっていいでしょう。
また、最近にわかにクローズアップされている問題があります。それは、「余剰住宅の問題」です。新聞やテレビでもよく取り上げられるようになりましたが、全国的に空き家がどんどん増えていて、社会問題化しているのです。
2014年7月に総務省が発表した「平成25年(2013年)住宅・土地統計調査」によると、全国の総住宅数6063万戸に対して、居住世帯は5210万戸です。
平成25年の日本の総人口は約1億2700万人ですので、1世帯当たり、だいたい2.4人程度の人が住んでいることになります。そして、空き家の数は820万戸。全国の住宅の実に13.5パーセントが余剰住宅という計算になるわけです。
総務省の住宅・土地統計調査というのは、5年おきに発表されているもので、その数値をさかのぼってみると、平成5年のときには余剰住宅は440万戸でした。つまり、この約20年間で、余剰住宅は倍近くまで増加していることになるのです。