テレワークや時差出勤、マスク、消毒、手袋…。巷では多くのコロナ感染対策が取られていますが、実はあまり意味を為していないものも存在します。感染対策はシンプルです。なにを優先すべきなのか、対策の基本について感染症医が解説していきます。※本記事は、岩田健太郎氏の著書『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル、2020年12月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

最も単純な感染対策は「人と同じ行動を避けること」

感染症という概念は分かりにくい。

 

しかし、感染を防御する方法はわりとシンプルです。あらゆる感染症には感染経路があって、その感染経路を遮断すればいい。エボラでも、エイズでも、インフルエンザでも、あるいは新型コロナのような未知のウイルスであっても、それは同じです。それが「正しく恐れること」の第1歩です。個人にできる最も単純な感染経路の遮断は、なるべく外出をしないことです。

 

1歩も外に出ず生きていくことはできませんが、人との接触を減らすことは、それぞれの生活の中でできます。人との接触を減らせば減らすほど、感染リスクは減らせます。ですから、テレワークで仕事に支障がない人なら、ぜひともテレワークをするべきです。

 

「上司は出勤しているのだから、自分だけ家にいるわけにはいかない」

 

消毒については、モノではなく「手」を基準に考えると楽になるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
消毒については、モノではなく「手」を基準に考えると楽になるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

そんなことを言う人がわりとたくさんいますが、そうした気配りは非常時にはリスクになります。「上司に合わせる」とか「同僚に合わせる」という理由だけで出勤して、たとえば満員電車で新型コロナをうつされてしまえば、上司や同僚だって感染するかもしれないのですから。

 

大事なのは、「仕事ができるか、できないか」です。「まわりに合わせるかどうか」ではありません。「みんなが出勤しているのに、アイツだけ家で仕事をしているのはおかしい」などという同調圧力に屈しないこともまた、感染経路の遮断であるわけです。

 

人によっては、あるいは職場によっては、それは簡単ではないかもしれません。「自分だけがテレワークなんて、とても無理」という声は、よく耳にします。しかし、そこで思考を止めるべきではありません。できない理由を見つけたからといって、考えるのをやめてはいけない。できない理由は、乗り越えるべきハードルです。

 

どうしても出勤しなければならないのなら、午前中は自宅で仕事をして、電車の空いている時間帯に通勤するとか、せめて1日おきに出勤するとか、方法はさまざまあるのではないでしょうか。

 

いずれにしても、感染が終息するまでは「人と同じ行動」はリスクです。

 

人と違うことに耐える。人と違うことを許す。組織でも個人でも、この2つを徹底するのが大切です。横並びの発想はいったん捨てなければならない。新型コロナを機に、永久に捨ててしまってもいいと僕は思っています。

 

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僕が「PCR」原理主義に反対する理由 幻想と欲望のコロナウイルス

僕が「PCR」原理主義に反対する理由 幻想と欲望のコロナウイルス

岩田 健太郎

集英社インターナショナル

なぜ、ノーベル賞科学者でさえも「コロナウイルス」が分からないのか? その理由は日本人独特の「検査至上主義」にあった! 人間の体は宇宙よりも謎に満ちていて、素粒子よりも捉えがたい。そのことを知らないで、「机上の…

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