50代は酒を静かに飲む、味わい深い心境を楽しめる贅沢な年代です。ですが、お腹を抱えて笑う機会は子どもの頃よりも減ることでしょう。そこで求められることは、ほろ酔い程度で仕上げられるスキル、笑う機会を自らつくること、自然のなかに身を置くこと、の3つです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。※本連載は松尾一也著『50代から実る人、枯れる人』(海竜社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

二日酔いとはオサラバ!50代にふさわしい飲み方

【50代から枯れる人=いつまでもはしご酒をしている​】

 

「白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒はしずかに飲むべかりけり」 若山牧水

 

なんとも味わいのある一句ですね。酒の味を覚えてから、ずっと憧れている響きです。

 

50代こそこんな心境を楽しめる贅沢な年代です。

 

若い頃の酒は勢いでガバガバ飲んでいましたが、やっとこの年になって酒の薫り、コク、味を五感で味わえる渋い境地に入ってきました。

 

私の夢の酒宴のイメージは、大分県杵築(きつき)市にある武家屋敷「大原邸」の東屋(あずまや)で満月の夜に、地元で獲れた城下カレイの刺身をつまみにして、地酒「西の関 美吟」の冷酒を、亡き父親と酌み交わすことが最高のものです。

 

その時に父親の口から「お前もよく頑張ったなぁ」なんて言われたらもういつ死んでもいいくらいです。

 

こんな夢物語も、人生経験を重ねて、大事な人も鬼籍(きせき)に入り、本当に愉快で楽しい宴はそんなにないということに気づいたはかない願望かもしれません。

 

私は日本各地を講演で旅して、その土地、土地の山海の幸を肴に美味しい地酒を飲むことが至福の喜びと感じていますが、酒を味わえるのも健康ならではの物種(ものだね)とつくづく思い知らされます。

 

50歳を過ぎたら、基本的には酩酊(めいてい)、泥酔、鯨飲(げいいん)、二日酔いとはオサラバしないといけません。

 

はしご酒も楽しいものですが、ついつい羽目を外してベロベロになってしまうと、もうオヤジはOUTです!

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

美味しい肴、愉快な仲間、楽しいひとときにお酒をたしなめると喜びが倍増することを知ってしまったあなた。

 

ほろ酔い程度で仕上げられるスキルを身につけて、人生最後の前夜まで晩酌ができるように祈りましょう(笑)。

 

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50代から実る人、枯れる人

50代から実る人、枯れる人

松尾 一也

海竜社

50代というのは、仕事においても家庭においてもこれまでと違うことが噴出します。 責任ある大きな仕事を仕切る/子供の教育の総仕上げ/親の介護、看病、見送り…といったライフイベントが迫るかと思えば、一方では、別会社…

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