税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
令和2年6月に公布された「サブリース新法」のポイント
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(サブリース新法)が、令和2年6月に公布されました。①サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化を図る措置を講ずること、及び②賃貸住宅管理業を営む者の登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保することを主な目的としています。
上記①の措置については、令和2年12月15日から施行されており、(ⅰ)マスターリース契約の勧誘時に、誇大な広告等を禁止し(法28条)、不当な勧誘等を禁止し(法29条)、重要事項説明を行わせる(法30条)といった規制を設けるものです。また、国土交通省によりサブリース事業に係る適正な業務のためのガイドラインが策定され、具体的な規制の対象が事例等で明示されています。
これは、サブリース業者が、マスターリース契約を締結する際に、借地借家法上の賃料減額請求がされたり、解約等にあたって正当事由が必要になること等を十分に説明していない事例があったため、このようなトラブルを防止するために導入されたものです。
上記②の措置については、令和3年6月15日から施行され、国土交通大臣の登録を原則として義務づけ、業務管理者の配置、管理受託契約締結前の重要事項の説明、財産の分別管理、定期報告などを行わせるものです。
これは、これまで登録が義務づけられていなかった業界において、不良業者を排除し、業界の健全な発展・育成を図るために導入されたものです。
ちなみに、サブリース新法は、「賃貸住宅」(賃貸の用に供する住宅)を対象としており、今後、マスターリース契約の締結に係るトラブル防止や、賃貸住宅管理業の業務の適正化が図られることが期待されています。
オーナーからサブリース契約の更新を拒絶できるのか
次に、サブリース契約の更新拒絶又は解約(以下「更新拒絶等」といいます)にあたって、サブリース契約も賃貸借契約である以上は、正当事由(借地借家法28条)が必要となると解されています。そのため、建物の所有者の中には、サブリース業者から、賃貸借契約の更新拒絶等にあたって正当事由が必要になるとの説明を受けていなかった事例も存在するようであり、消費者庁などでもトラブル事例の存在が報告されております。
なお、正当事由の判断にあたっては、
①賃貸人の建物使用の必要性
②賃借人の建物使用の必要性
③賃貸借に関する従前の経過
④建物の利用状況及び現況
⑤財産上の給付(立退料など)の申し出の有無
などが考慮されます。そのため、正当事由を補完するための立退料も一定の金額が発生する事例が相当程度あるだろうと思われます。
正当事由の具体的な判断にあたっては、転借人がいる場合には、転貸料等の収入を得ているサブリース事業者たる賃借人の事情だけではなく、実際に占有して使用している転借人の事情についても借家人側の事情として斟酌されることになるものと解されます。
また、サブリース事業者の利益は、主として、本件建物を転貸して経済的利益を得ることになりますので、そのような事情が正当事由の判断にあたって考慮されることになるものと解されます。
さらに、サブリース契約に係る契約書に、賃貸人側から一定期間前に通知を行えば期限前解約ができる旨の条項がある場合には、「終了についての特別な合意」として、正当事由の一つの要因として評価することができる場合もあると考えられますし、サブリース事業者がサブリース契約の締結にあたって、サブリース契約の更新拒絶等にあたって正当事由が必要となることについて、異なる説明を行った、あるいは十分な説明を行わなかったことは、当然ながら個別事情によるものの、正当事由の判断要素の一つである「賃貸借に関する従前の経過」として考慮され得る事情になり得ると考えられます。
山口 明
日本橋中央法律事務所
弁護士
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