高齢化、人口減少…昨今、マンションを取り囲む状況は極めて厳しいものになっています。大阪経済法科大学経済学部教授の米山秀隆氏の書籍『限界マンション 次に来る空き家問題』(日本経済新聞出版社)より一部を抜粋・編集し、マンションの建て替えの問題点を解説していきます。

マンション建て替え問題…犠牲になる少数者

このように、建て替えには、多数決とはいえ、少数者に犠牲を強いて行うという面があることは否定できない。

 

これも多数の利益を守るためには必要と考えられているのが現状であるが、そもそも老朽化した場合に、建て替え以外の選択肢が事実上ないことが問題ともいえる。

 

老朽化し、もはや取り壊す以外の選択がないと多数が考えた場合、建て替えを行うのではなく、区分所有権を解消し土地を売却するという方向が、マンション法制で積極的に予定されていれば、そのほうがむしろ合理的に列理できる可能性がある。

 

この場合は、すべての区分所有者について、売却益が平等に分配されることになる。仮に、区分所有者の中に同じ場所に住み続けたいという人がいるのであれば、そうした人々が共同でその土地を購入し、コーポラティブハウスなどの形で新たに建物を建設すればよい。

 

ただしその場合、従前の区分所有者とは別に、その土地を取得したいという希望者が現われた場合には、それよりも高い値段をつけなければ土地を取得できないことになる。ただ、そこまでして、同じ場所に共同住宅を建て替えて住み続けたいと思うことは、現実にはそうないかもしれない。

 

しかしそのほうがむしろ自然なことといえる。より高い値段をつける人が、その土地をより有効に活用することができると考えられ、より低い値段しかつけられない従前の区分所有者が、その土地を取得できないとしてもやむを得ない。そのほうが、都市全体として、有効な土地利用が行われるはずと考えられるからである。

 

にもかかわらず、現在のマンション法制では、建て替えて同じ場所に住み続けることを優先し、容積率の引き上げなどそれを積極的に支援する政策措置まで講じられている。いったん取得した区分所有権を持ち続けたい人々がそのマンションで多数派を占めている限り、極力それを守ろうとするのが、現在のマンション法制の立場である。

 

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