高齢化、人口減少…昨今、マンションを取り囲む状況は極めて厳しいものになっています。大阪経済法科大学経済学部教授の米山秀隆氏の書籍『限界マンション 次に来る空き家問題』(日本経済新聞出版社)より一部を抜粋・編集し、マンションの建て替えの問題点を解説していきます。

日本における「マンション法制」の特殊性

なぜ、日本のマンション法制が基本的に建て替えを予定しているのかといえば、マンション寿命の短さと、所有権への強いこだわりが関係していると考えられる。

 

【日本のマンション事情の特殊性】

 

過去に建て替えが行われたケースでは、築後30~34年というケースが最も多かったが、中にはわずか20年前後で建て替えを行わざるを得なくなったケースもある。コンクリートの寿命は通常であれば、60年前後、良好な条件が満たされれば100年は保つといわれているが、初期に建てられたマンションは60年の半分程度で建て替えの必要が生じている。

 

もっとも、昭和初期に建てられた同潤会アパートは、築後60年を経て建て替えられるようになり、比較的長い寿命を保ったといえなくもないが、内部設備の老朽化はそれよりはるかに早く進行し、建て替えはそれ以前から切実な問題となっていた。

 

日本のマンション寿命が短いのは、初期のマンションでは、コンクリートの打設にも問題があったためともいわれる。耐久性に劣る水分が多いコンクリート(いわゆるシャブコン)が使われたという例や、悪質なケースでは海砂が使用され、塩分により鉄筋が錆びるなどして、耐久性が著しく落ちたという例もある。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

また、コンクリートは60年の寿命を保っても、配管などの内部設備は30年程度で交換する必要が生ずる。日本のマンションでは建物内部に配管される「内配管」の構造となっており、後で交換しやすい「外配管」が工法として採用されていなかったという問題もある。

 

さらに、日本の建設業界全体が長い間、マンションに限らず、多くの建築物について、耐久性に十分配慮して長く使うという発想には立たず、建てては壊すというスクラップアンドビルドの発想に立って、建築物を作ってきたという根本的な問題もある。

 

スクラップアンドビルドのほうが、仕事がなくならず、建設業界にとって好都合である。こうしたマンションの構造上の問題や、建設業界の問題については、これ自体、ひとつのテーマとして考えなければならない問題ではあるが、ここではこれ以上深入りしない。

 

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