現代日本人の約2800万人が発症している「腰痛」のうち、2~3%が「椎間板ヘルニア」だと言われています。しかし医師に相談しても、具体的な対処法がなかったり、一生治らないといわれたり、困っている腰痛患者が多いのではないでしょうか。本連載では、現役医師である伊東信久氏が、整形外科と整体、接骨院の違いについて解説します。

整体や整骨院では、「根本的な」治療はできない

よく患者さんがこぼす話として、

 

「整形外科に行っても湿布や痛み止めを出されるだけで、痛みを治してくれない」

「整体や整骨院のほうが、痛みが和らぐからマシ」

 

というものがあります。これには医者として、筆者も言い返せないところがあります。

 

ただ、施術後はラクになったとしても、数日後には再び痛みは出るので、結局は足しげく治療院に通っているのではないでしょうか。つまり、病院が治療院に代わっただけで、根本的な治療になっていない点では同じです。

ボキボキという音は、「身体が鳴らす警鐘」

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

身体の歪みを取って本来の姿勢に戻す整体は、整体師が横になっている患者さんの身体を捻るように反らせながらボキボキと音を鳴らしていきます。この音が、あたかも身体の歪みが治っていくサインであるかのように感じ、施術を受けている患者さんは身体が伸びてスッキリした気分になるようです。

 

しかし、これで本当に身体の歪みが正されるのでしょうか。

 

まず、身体を矯正するといっても、果たして何を基準にして骨が歪んでいると言っているのか、甚だ疑問なところです。

 

例えば、背骨が何度くらい曲がっていると「歪んでいる」というのか、その基準があるわけではないのです。そもそも身体の奥にある骨の変形を、身体の外からの力で元に戻せるわけがありません。

 

それほど影響を与える作用を身体に及ぼせば、骨粗鬆症の人なら骨折してしまう可能性もありますし、骨を支えている靭帯や組織が傷ついたり、腰痛が悪化したりする危険さえあります。これが椎間板ヘルニアであったなら、余計にひどくなる恐れがあります。

 

むしろボキボキと音が出るまで身体を動かすというのは、「それ以上やってはいけない」という警鐘ととらえるべきなのです。

 

そういう意味では理学療法である牽引治療は、ゆっくりと時間をかけて矯正していくので、まだマシかもしれません。しかし、人間は重力に逆らった立位であるので、効果を得るために24時間365日引っ張っていなければならないのですが、それは不可能です。

 

 

 

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椎間板ヘルニア治療のウソ・ホント

椎間板ヘルニア治療のウソ・ホント

伊東 信久

幻冬舎メディアコンサルティング

多くの現代人の悩みである腰痛・首痛。 その原因の一つである椎間板ヘルニアには、さまざまなウワサがあります。「手術しても完治しない」「安静にしていれば自然に治る」など…。 本書では、そんなウワサの真偽を椎間板…

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