椎間板ヘルニアに「電気治療」…本当に有効なのか?
接骨院などに行くと、必ずといっていいほど行われるのが電気治療です。
これは、身体に器具を装着して電気を流すというもので、低周波・中周波・高周波・超音波など周波数の異なる電気が治療内容によって選択されます。
まず、電気を流すことによって筋肉に適度な刺激を与えます。それによって筋肉がほぐされたり動いたりするので、血行が良くなります。そうすると、酸素や栄養をたくさん送ることができ、血流が増えることでケガなどの回復につながります。
また、神経を圧迫して痛みがあるときは発痛物質が出ており、周りの筋肉などが炎症を起こしています。ここに電気治療を施すと、その刺激で今度は痛みを和らげる物質が出るようになるのでラクになるのです。
このような治療は、筋肉の炎症が原因の腰痛や頸痛、肩こりには効果的です。しかし、腰や頸(くび)そのものに原因がある椎間板ヘルニアの場合は、一時的に痛みを和らげる保存的治療となんら変わらないといえます。
整体、電気治療、鍼治療…多種多様な「ヘルニア治療」
椎間板ヘルニアの治療には大きく分けると、手術を行わない「保存的治療」と、手術を行う「外科的治療」があり、整体、電気治療、鍼治療は、保存的治療に分類されます。
通常は、まず保存的治療を行って最低1カ月程度は経過を見ていきます。長いときには3カ月程度の治療期間を取り、様子を見ていくこともあります。その後、手術が必要と判断されたときには外科的治療に切り替えますが、現実には何年にもわたって保存的治療を続けているケースがほとんどです。
保存的治療は、あくまで痛みや症状などを改善するものであり、椎間板ヘルニアそのものを小さくするとか、消してしまうものではありません。基本的には頸椎も腰椎もヘルニアであれば、鍼治療のほかにも次に挙げるような治療が行われます。
ヘルニアの治療法①:安静治療
患部を動かさないようにして、痛みの原因の進行を食い止める方法です。
安静というと、ベッドなどで静かに横になっているイメージがありますが、この場合、痛みが起こるような無理な姿勢や動作を避け、できるだけ普段の生活を送ることをいいます。
頸椎椎間板ヘルニアの場合は、首が動かないように頸椎カラー(ネックカラー)という首に巻く装具を着けて首の動きを制限したうえで安静にすることもあります。
ヘルニアの治療法②:投薬治療
痛みが強く、日常生活に支障が生じるときには、痛みを和らげる薬が処方されます。これには、飲み薬と注射で投与する方法があります。
・飲み薬の場合
炎症と痛みを抑える非ステロイド系の消炎鎮痛剤(ロキソニンやボルタレンなど)がよく使われます。また、痛みが起こると筋肉が緊張して硬くなり、痛みを増幅させることがあるため、筋肉弛緩剤と一緒に処方することもあります。
・注射によって痛みをブロックする方法
痛みの原因となっている部分に直接、ステロイド剤や局所麻酔剤を注射する方法です。注射する場所によって神経根ブロック、硬膜外ブロックと呼ばれます。比較的長期間にわたって痛みを取ることができますが、痛みの原因を解決するわけではないため根本的な治療とはいえません。
ヘルニアの治療法③:理学療法・マッサージ
確かに筋肉の凝りをほぐして血行を良くすることで、一時的には痛みが和らぎ身体もラクになるでしょう。ただ、椎間板ヘルニアが原因の場合は、マッサージだけで治療することはできません。また、筋肉が硬くなっていると力任せにマッサージをされ、揉み返しが起こり、かえって症状が悪化することもあるので注意が必要です。
・牽引治療
重力や圧力とは逆方向に引っ張って伸ばすことで患部の緊張を和らげるという方法です。引っ張られると気持ちが良いですが、牽引する力加減を間違えると、症状を悪化させる危険があります。治療を受ける際には理学療法士などの専門家がいる施設を選ぶことが大切です。
・温熱療法
痛みの出ている部分を温めることで収縮した血管を緩めて血液循環を促し、筋肉の凝りをほぐしていく方法です。これには、80℃前後に温めたパックをタオルで包んで患部に当てるホットパックや、赤外線照射などがあります。
しかし、この方法では身体の表面を温めることはできても、深部まで温めることはできません。また、患部が炎症を起こしているときには、温めることで痛みが増す場合があるので注意が必要です。
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