日本人の5人に1人、40〜60代では2人に1人が腰痛もち
今や腰痛は“国民病”といわれるほど日本人に多い疾患の代表です。
厚生労働省研究班の調査(2013年)によると、約2800万人が腰痛に悩んでいることが分かりました。割合でいうと、なんと5人に1人、40〜60代では2人に1人が腰痛もちなのです。そのうちの2〜3%が腰の椎間板ヘルニアだとされています。
日本人の8割は一生のうちに一度は腰痛を経験しているといわれています。一過性の腰痛の人もいるのですが、先の調査結果のように多くの人が慢性化してしまっているのが現状です。
レントゲン撮影は「骨折」には非常に効果的だが…
体内の様子を観察するには、画像撮影が大変有効です。これには、健康診断でおなじみのレントゲン撮影と、ちょっと大がかりなCTやMRIといった画像診断があります。
レントゲンは「X線」とも呼ばれています。X線とは放射線の種類のことで、物質を突き抜ける性質をもっています。
人間の身体はタンパク質や脂肪、水などの分子でできているため、人体にX線を照射すると分子に当たって消滅するか散乱して、次第にその数が減っていきます。体内で多く吸収する部分は白く写り、X線を通しやすい部分は黒く写ります。これによって体内の状態を見るのがレントゲン撮影です。
レントゲンは骨の状態がよく分かるので、骨折などの診断には有効です。しかし、血管や筋肉、神経、そして軟骨でできている椎間板は、通常のX線では写らないため、レントゲンだけで椎間板ヘルニアと診断することはできません。
CT・MRI…椎間板ヘルニア診断に向いているのは?
同じX線を使って断層撮影しているのがCTです。CTは「コンピューテッド・トモグラフィ(Computed Tomography)」の略で、日本語では「コンピュータ断層撮影」といいます。これは、検出器を身体の回りでぐるっと一周させて、いろいろな角度からX線を照射して透過したX線量の違いを検出し、その割合をコンピュータで計算して断面に写し、画像にしています。
ただ、単純なレントゲン撮影に比べてX線量が多いぶん、被爆する量も多くなります。これらに対してMRIは「マグネティック・レゾナンス・イメージング(Magnetic Resonance Imaging)」の略で、日本語では「核磁気共鳴画像法」といいます。
レントゲンやCTがX線を用いるのに対し、MRIは磁気によって体内の成分を測定して撮影する方法です。
人体を構成している分子は、どれも水素をもっており、大きな磁石でFMラジオと同じくらいの電磁波を身体に照射すると、体内の水素原子が運動して電磁波を発生させます。この体内から出た電磁波で水素原子の量などを測定するのがMRIのT2画像です。これは電子レンジと同じ原理なので、MRIを撮っているときに身体が少し温かくなるのはそのせいです。
CTもMRIも身体を輪切りにした立体的な写真を撮れますが、実は皆さんが検査で見ている画像は、撮影して集めた情報の信号をコンピュータで処理し、それを断面の映像に再構成しているものなのです。
このMRI画像なら、椎骨の後ろを通っている脊柱管をはっきり写すことができます。椎間板ヘルニアを発症している場合は、この脊柱管がヘルニアに圧迫されて細くなっているので、すぐに分かるのです。
「腰痛」の患者来院で、すぐにMRIを撮る医者はいない
ところが、腰痛や首痛を訴える患者さんに対して、いきなり「MRIを撮りましょう」という医者はまずいません。当然ですが、最初はレントゲンを撮り、骨に異常がなければ腰痛症と診断され、消炎鎮痛剤と湿布が処方されます。
それが数カ月続いて痛みが強くなるなど、一向に治まる気配がない場合に、ようやく「詳しく調べてみましょう」とMRI撮影をするケースがほとんどです。
なかには「個人差があるから」と軽くあしらい、相変わらず効かない同じ薬を処方し続け、別の病気を疑ってみることさえしない医者がいるのです。
ある患者さんはどうにも「おかしい」と感じ、主治医に「本当に腰痛症でしょうか?」とたずねたところ、「私の診断が信用できないのか!」と怒鳴られてしまったと、筆者のところへ来院した際、涙ながらに話していました。
患者さんにとってはMRI撮影を受けるまでにも、高いハードルがあることを改めて知りました。
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