高齢化の進展する日本では、一戸建てからマンションや有料老人ホームへの住み替えを検討する高齢者が増えています。不動産の売却・現金化を狙うも、譲渡所得には高額な課税がなされるため注意が必要です。※本記事は、メガバンク出身の金融・ファイナンスの専門家、藤波大三郎氏の著書、『たのしく学べるファイナンシャルプランニング[改訂版]』(創成社)より抜粋・再編集したものです。

「住宅の買換えで発生した損失」が軽減されるケース

デフレで経済が悪化し、不動産価格も下落が続くと、住宅を買換えると損をする人が出てきます。それでも、下落した不動産価格のため、現在より広い住宅や良い立地の住宅に移れるのであれば買換えは起こります。そこでそうした買換えの損失に損益通算と繰越控除で損失の痛みを軽減するという措置があります。買換えをした場合の売却物件の住宅ローンは返済が終了していても問題はありませんが、買換えた新しい物件には住宅ローンがあることが条件となっています。

 

売り切りで買換えをしない場合は、譲渡した住宅に住宅ローンが10年以上残っていることが必要となります。そして、譲渡損失は売却した住宅についていたローンの残高から譲渡価格を引いた差額となります。譲渡代金によって返済できなかった住宅ローンの残高を限度とするという趣旨です。

 

なお、買った住宅の住宅ローン控除との併用も可能です。ですから、譲渡損失の繰り越し控除が3年あり、その次の年からは住宅ローン控除が受けられるということになります。

土地を相続した場合、売却するなら3年以内が有利

相続によって得た財産を売却するときには、相続税の申告期限後、3年以内であれば相続税を取得費に加えることができます。したがって、相続で土地などの財産を得た場合、売却するなら相続税の申告期限の翌日から3年以内が有利ということになります。なお、平成27年から、この制度の対象となるのは、譲渡した土地にかかる相続税だけとなり、優遇の程度は縮小されています。

 

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たのしく学べる ファイナンシャル・プランニング[改訂版]

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