誰かの欲求を満たすだけの「いい人」では意味がない
●相手のニーズに合わせるだけでは主導権は得られない
ただし、ここで勘違いしてしまいがちなことがあります。
それは「相手のニーズに合わせ、相手の欲しているものを差し出すことが影響力を発揮する近道だ」という考えです。
たしかに、聞き手のニーズを聞き出し、それに合う話をすれば関心は得られるでしょう。しかし、そこで話す内容はあなたが伝えたいメッセージでしょうか? 相手のニーズに合わせた会話の流れから、説得力を発揮することができるでしょうか?
ニーズを探し、相手にただ迎合してしまうと、聞き手のほしいものしか与えられなくなります。そもそも影響力を発揮する目的は、相手を説得し、あなたの望む行動をするよう促すためなのですから、いつも相手のニーズを満たす、いい人になっていては意味がないのです。
では、相手のニーズに合わせるのではなく、相手を自分の望む方向に動かしたい場合、どうすればいいのか。
そのためには、主導権はあなたが握ったうえで、あなたが与えたい影響を、相手が自ら必要だと思うようにラベリングすることが重要なのです。
たとえば、ある勉強法を広め、生徒を増やし、著作を多くの人に買ってもらいたいと思うなら、最適な表現の方法は「私がオススメするこの方法には、こんなすばらしい効果があります!」ではありません。
「あなたは勉強中、集中が続かなくて悩んでいませんか? ある方法を試すと、すばらしい効果が出ることが心理学の研究で明らかになっています」と切り出しましょう。
アピールしたい内容の軸はブレていません。ただ、関係性を強調するフレーズを加え、表現の仕方をアレンジしただけで、聞き手が受ける印象は大きく変わるのです。
聞き手に関係性が伝われば、自然と耳を傾けてくれる
●「関係性の強調」の得手不得手が影響力を左右する
影響力のある人が心得ているコツは、この「関係性の強調」です。
歴史を変えたインフルエンサーが人を動かしてきた手法が「大衆扇動」なのですが、その言葉を目にしたとき、ほとんどの人は自分とは関係がないと感じます。「政治家になるわけでもないし」「なんか怖そう」「役立つとしたらYouTuberとか?」と。素直に関心を持ってくれるのは、集団心理や陰謀論などに興味を持つコアな人たちか、多くの人を操って何かを成し遂げようという野心を秘めた人くらいでしょう。
でも、現に読者のあなたはこの記事に目を止めてくれています。それは私が挙げる以下の例と関係しています。
★ベストな解決策が見つかったのに、意固地な上司が認めない
★日々のがんばりを夫(妻)が理解してくれない
★要領のいい同僚が褒められ、縁の下の力持ち的な働きをしても評価されない
★好みと気分で言うことの変わる恋人に振り回されている
★好みと気分で言うことの変わる取引先のキーパーソンに悩まされている
★親に強く否定されて以来、常に周囲の人の顔色を窺うようになってしまい苦しい
★いつも人の意見に流されてしまう自分にイライラする
★本当はコミュニティを引っ張る存在になりたいのに、自分を変えられない
こうした実際の不満を提示しながら、それを解決する鍵がここにあると述べたことで、「超影響力」は自分に必要なスキルだと感じてもらえるように、「関係性の強調」を行なっていたのです。
このように、大衆扇動の研究を通じて効果が立証されている手法は、聞き手に影響力を与え、説得する力があります。
聞き手が1人でも数人でも何十人規模になっても、大衆扇動の手法を学び、応用すればあなたは影響力と説得力を発揮できるようになるのです。
そう理解すると、「大衆扇動」とあなたの間に関係性が生まれます。
★自分にも関係があるかも
★人付き合いに、仕事に、必要な知識かも
★学べば使えるようになって、悩んでいる問題が解決するかも
こんなふうに、聞き手の中で関係性への気づきがあると、話し手がするトークに興味を持ち、耳を傾け、影響を受け始めます。それはまさに今、ここまで本記事を読んでくれているあなたの中で起きた変化と同じです。
自分と関係があるから知りたくなり、人は知りたくなると行動するのです。
この原則が腹落ちしたら、あなたが誰かに影響力を発揮したいと思ったとき、どうすると効果的なのかもわかるはずです。
誰かに何かを伝えるとき、自分の正しさをアピールしたり、相手の間違いを指摘したりする必要はありません。「これから話すことは、あなたと関係していて、こう役立ちます」と伝えること。
「関係性の強調」こそ、超影響力を支える要(かなめ)なのです。
ニーズに合わせると、相手のほしいものを差し出すだけ。相手の関心に沿いつつ「自分に関係ある」と思わせると、あなたのしてほしいことを、相手からしてもらえる。
メンタリストDaiGo
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