中山てつや氏は著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場における諸問題について語っています。当記事では、中山氏のキャリアコンサルティングとしての実務経験をもとに、日本の企業における問題点を考察していきます。

成果主義と並んで一世を風靡したのが「多面評価」

匿名性はない成果主義とほぼ同じタイミングで一世を風靡(ふうび)したのが、多面評価の制度です。この制度は上司や部下、同僚が、対象者の社内における行動について観察した内容を、本人にフィードバックする仕組みで、いわゆる、人事上の評価ではありませんが、それを補完する形で、幅広く導入されています。

 

結果を人事評価の一部として、評価制度に組み込んでいる会社もありますが、一般的には評価の内容を補うもので、上司の、部下に対する偏った判断を、けん制する役目も果たすことになります。

 

「多面評価」にも、忘れられない思い出がいくつかあります。まずは、日系企業で仕事をしていた時のことです。

 

その会社では、年に1回、部下が上司に対して、無記名でアンケート調査を行うようになりました。アンケートは、極秘扱いとして、直接人事部に提出する仕組みだったので、日頃感じていることも率直に記入できます。せっかくの機会なので、本音で書いて提出することにしました。

誰が書いたのか一目瞭然…「アンケート」の落とし穴

後になって分かったのですが、この時の多面評価制度には、重要なことがふたつ隠されていました。ひとつ目は、アンケート調査の結果が集計された後、上司に直接書面で通知されることです。

 

ふたつ目は、アンケートに記入する基本情報の中に、評価者本人を絞り込める項目が含まれていたということです。しかも、フィードバックされる内容には、その基本情報も入っていたのです。後日、上司に呼び出されて、問い詰められたことは言うまでもありません。

 

「お前が書いたんだろ!」(画像はイメージです/PIXTA)
「お前が書いたんだろ!」(画像はイメージです/PIXTA)

 

そのようなことがあったので、次の会社では、注意して対処することにしました。具体策として、会社の上層部が評価していると感じた上司には、意に反して、意図的に良い点数をつけました。本当は、平均点以下をつけたかったのですが、逆に、高い評価をして、様子を見ることにしたのです。

 

後で判明したのですが、この会社でも、「誰が、誰を、どのように」思っているのか、がある程度分かってしまう仕組みで、危うく同じミスを犯すところでした。

 

なお、人事にいた同僚の情報によると、経営陣から評価されていた上司の多面評価は、周りと比べて、「突出して高かった」そうです。皆、「考えることは同じ」ということでしょうか。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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