「腸もれ」が原因で起こる疾患は…
腸もれで引き起こされると考えられている不調は便秘・下痢、膨満感、胸焼けなどに始まり、腹痛やめまい、神経過敏、不安感、疲労が続きます。そして、原因不明のまま長期になるに従い糖尿病、心筋梗塞、自己免疫疾患、多動症、自閉症、骨粗鬆症、アルツハイマー病やパーキンソン病などの生活習慣病を含む慢性疾患に至ります。
〈慢性の消化器系疾患〉
便秘や下痢といったなじみのあるものから、難病とされる潰瘍性大腸炎まで多岐にわたります。中でも小腸で細菌が異常増殖してしまうSIBO(小腸内細菌異常増殖症:Small Intestinal Bacterial Overgrowth)と腸もれとの関係が特に注目されています。後述しますが、本来小腸は、洪水状態で細菌が棲みにくい場所でもあります。
そこに、大腸からの菌と胃からくる菌の由来があります。小腸に細菌が繁殖する原因として、大腸から細菌が移動してくる場合と胃で消化・殺菌されずに関門を通り過ぎてくる場合があります。大腸からは、炎症性大腸炎で繁殖した菌が回盲弁を通して小腸で繁殖することです。胃からは、胃酸で十分に殺菌されないことによる場合があります。
小腸に細菌が異常増殖すると症状としてゲップや膨満感、体重減少などが挙げられますが、ほとんどが無症状のことが多いようです。
〈慢性痛〉
慢性痛の患者は2000万人ともいわれています。
痛みの中には、つねったり熱いものに触れたりした時に感じるものがありますが、これは刺激に対する一時的な反応であり、病的な意味をもちません。一方、病的な痛みは炎症の4大症状(腫れ、赤み、痛み、熱)の一つであり、この炎症の中に隠れた「腸もれ」が関与している可能性があります。
しかも、体の中に炎症が起こることで、痛みを感じやすくなるというわけです。腸もれの炎症は慢性的なものですから、痛みも炎症がなくならない限り、慢性痛となって私たちをじわじわと苦しめるのです。
痛みを主症状とする代表的な難病の一つに、線維筋痛症という疾患があります。体の広範囲にわたる、耐え難い疼痛と疲労感、不眠をともない、検査をしても異常がないのが特徴です。原因をはじめ、解明されていないことが多い疾患ですが、最近では「腸もれ」による慢性炎症が関与している可能性があると考えられています。
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