認知症やうつ病も!?「腸もれ」が引き起こす疾患
今や日本人の70%に「腸もれ症候群」の可能性があるといわれています。
「腸もれ」とは、なんらかの要因で腸の状態が悪くなり、細胞と細胞の結合がゆるんで隙間があいて、腸菅内に存在する未消化の食物や細菌やウイルスなどの有害物質が、腸から血管に入ってしまうことを指します。
腸もれで引き起こされると考えられている不調は便秘・下痢、膨満感、胸焼けなどに始まり、腹痛やめまい、神経過敏、不安感、疲労が続きます。そして、原因不明のまま長期になるに従い糖尿病、心筋梗塞、自己免疫疾患、多動症、自閉症、骨粗鬆症、アルツハイマー病やパーキンソン病などの生活習慣病を含む慢性疾患に至ります。
「腸もれ」が引き起こす疾患①:認知症
超高齢社会における日本で増え続けている認知症。今最も問題視されている疾患の一つといっていいでしょう。この病気の発症にも、「腸もれ」が関わっていることが疑われます。
腸は口からの粥状に消化され、胃酸で殺菌された食物が、さらに有害物質を防御するために、腸管上皮細胞で選別されます。特に、脳は血液から異物や大き過ぎる分子から守るために血液脳関門があります。腸と同じ機序で守られていると考えられています。
しかし、脳はさらに厳重な武備体制を備えています。ニューロンと血管の間に星状膠細胞(アストログリア)が入り、エネルギーの供給から有害物質を守るために通さないファスナー(留め具)とともに、排出に対しても強く働くなどの脳特有の面があります。
血液脳関門のゆるみ、もれやすい脳(リーキーブレイン)の初期症状は、「脳の霧(ブレインフォグ)」です。集中力低下や記憶障害、気分障害なのです。
しかし、血液脳関門の崩壊が、アルツハイマー病の病理に見られるアミロイドやタウとは無関係だというのです。ということは、アルツハイマー病の発症の非常に早い段階で「脳の霧」が起こっているのです。
「腸もれ」が引き起こす疾患②:うつ病
うつ病はどのようにして起こるか、そのメカニズムはいまだはっきりとはしていません。うつ病は、生涯に一度は罹る人が15人に1人だそうです。米国では学校襲撃事件とか日本では無差別殺傷事件などが起こり、震撼させています。そしてその多くに抗うつ剤の精神薬服用が見られているのも特徴です。
そうした中、2011年に「4大疾病」から「5大疾病」を掲げましたが、そのトップが精神病でした。続いて糖尿病、がん、肺疾患(脳卒中と入れ替わる)、心疾患です。
このうつ病が、単なる精神病にとどまらないで、免疫やホルモンなどの異常をともなう脳の慢性炎症であるといわれるようになってきています。高感度CRP値(末梢血液中のC反応性たんぱく質で炎症の強さと相関する)がうつ病患者の3分の1において、高レベルであり、重症度とも相関していると報告されています。
つまり、慢性炎症の大きな要因である腸もれが、うつ病をも引き起こしている可能性がある、ということです。
「腸もれ」が引き起こす疾患③:更年期障害
更年期になると多くの人が、仕事に集中できないとか、よく眠れないといった体の不調を訴え始めます。年齢のせいにしてしまいがちですが、最近では「性ホルモン不足」によるところも大きいといわれているのです。
男性の場合は60歳前後で男性ホルモン「テストステロン」が、女性は50~60歳で女性ホルモンの「エストラジオール」が急減することが、さまざまな不調の要因とされています。
ホルモンは、脳の視床下部と呼ばれる場所から分泌され、過不足がないようコントロールするのも視床下部で行われています。性ホルモンの場合、視床下部から下垂体へまず命令がくだり、下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されます。それが指令となって生殖器から性ホルモンが分泌されます。
ホルモンの分泌は、加齢により、生殖器機能が衰えて分泌量が減ってきます。それに加え、腸もれにより脳が慢性炎症を起こしていると、ホルモン分泌のバランスがさらに崩れやすくなることが考えられます。つまり、同じように更年期を迎えても、腸もれがある人とない人とでは、ある人の方が更年期障害の症状が出やすく、また重くなりやすいといえるのです。
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