オードリー・タン「デジタル担当政務委員」就任の3つの条件

こんな人材が日本にも欲しかった。オードリー・タン。2020年に全世界を襲った新型コロナウイルスの封じ込めに成功した台湾。その中心的な役割を担い、世界のメディアがいま、最も注目するデジタルテクノロジー界の異才が、コロナ対策成功の秘密、デジタルと民主主義、デジタルと教育、AIとイノベーション、そして日本へのメッセージを語る。本連載はオードリー・タン著『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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選挙に参加の大切さを実感したエピソード

初めて参加した選挙で実感した一票の重さ

 

私自身は、20歳のときに初めて投票を行いましたが、それは里長(日本でいえば町内会長のようなもの。台湾における最小行政単位)選挙でした。その日、私は仕事の予定があったのですが、戸籍がある木柵という場所に戻って投票したので、仕事に行くことができませんでした。

 

しかし、投票が終わって開票が行われると、なんと私が一票を投じた候補者が一票差で当選したのです。まさかこんなことがあるのかと信じられない気分でした。本当に一票差だったのです。もし私が投票していなければ、台湾の法律では当選者をくじ引きで決めることになっていたはずです。

 

初めて投票した選挙では、なんと自分が一票を投じた候補者が一票差で当選したという。
初めて投票した選挙では、なんと自分が一票を投じた候補者が一票差で当選したという。

そのときの体験により、私は選挙に参加することの大切さを改めて実感しました。台湾の若者は最終的に総統選挙に一票を投じることになりますが、最初は里長選挙や他の選挙で投票というものの意味を感じるのも、とてもよいことだと思います。あるいは大学で、学生会の代表を選んだりもするでしょう。もう少し若い年齢であれば、高校や中学の生徒会役員を選んだりするでしょう。

 

そういう行動を通じて、投票という行為を習慣にしてほしいと思うのです。これは台湾の若者に限った話ではありません。日本の若者のみなさんにも、ぜひ選挙に積極的に参加してほしいと願っています。

 

「投票したい候補者がいない」場合もあるかもしれません。だからといって、「政治を変えるのは難しいことだ」と考えるべきではありません。たとえば、「起業したい」というのであれば、それは公益に参加することと同じ道理です。「起業したい」と言うのは「社会を変えたい」と言っているのと同じことなのです。

 

「政治に参加して社会をより良いものに変えていこう」とする意識は、政治の側も国民の側も相互に強化されていくべきことだと思います。

台湾デジタル担当政務委員(閣僚)

1981年台湾台北市生まれ。幼い頃からコンピュータに興味を示し、15歳で中学校を中退、プログラマーとしてスタートアップ企業数社を設立。19歳のとき、シリコンバレーでソフトウエア会社を起業。2005年、プログラミング言語「Perl6(現Raku)」開発への貢献で世界から注目。同年、トランスジェンダーであることを公表し、女性への性別移行を開始する(現在は「無性別」)。2014年、米アップルでデジタル顧問に就任、Siriなど高レベルの人工知能プロジェクトに加わる。2016年10月より、蔡英文政権において、35歳の史上最年少で行政院(内閣)に入閣、無任所閣僚の政務委員(デジタル担当)に登用され、部門を超えて行政や政治のデジタル化を主導する役割を担っている。2020年新型コロナウイルス禍においてマスク在庫管理システムを構築、台湾での感染拡大防止に大きな貢献を果たす。

著者紹介

連載「政治を、経済を、未来を変える」デジタルとAIの未来を語ろう

オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

オードリー・タン

プレジデント社

2020年に全世界を襲った新型コロナウイルス(COVID‐19)の封じ込めに、成功した台湾。その中心的な役割を担い、2020年新型コロナウイルス禍においてマスク在庫管理システムを構築、台湾での感染拡大防止に大きな貢献を果たす。…

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