パーティー主催者に参加者の身元を保証する義務はない
次に、婚活パーティー主催者を訴えることができるか、ですが、これも刑事上の罪に問うことは難しいでしょう。
そこで婚活パーティー主催者に対して民事上の損害賠償請求ができるか検討することになります。この点、婚活パーティー主催者が「参加者が独身であることを保証」しているならともかく、そうでない場合に婚活パーティ参加者が既婚者だったことの責任を主催者に問うことは相当困難でしょう。
つまり、法的にはよほど限定的な場合でない限り、相手が既婚者かどうかは当事者が確認することが前提となっているということです。
そうしないと、単なるお付き合いについて裁判という形で国家権力が規律をすることになってしまい、妥当ではないといえるでしょう。何かあった場合には法律は助けにはなりますが、あまりにもプライベートな空間に法律が入り込む世界もちょっと怖い気もします。
こういったご相談はたくさんお受けするのですが、ケースバイケースでご自身で判断するのは難しいことが多いでしょう。今回は残念ながら法的にどうこうできるケースではないかもしれませんが、今回のことをよい経験としていただき、またよりよい出会いがありますことをお祈りするばかりです。
●交際相手が結婚をちらつかせ、金品をだまし取ったか。嘘をついただけでは何の犯罪も成立しない。
●相手が既婚者かどうかは当事者が確認することが前提の婚活パーティー。その主催者に「参加者が既婚者だったことの責任」を問うことは難しい。
三輪 記子
弁護士(第一東京弁護士会)
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】