40代後半の夫は小遣いの大半をアイドルグッズの購入、イベント参加の費用に使っている。邪魔になってきた所狭しと置かれたグッズを妻が処分したら、怒りのあまり夫は家出。この場合、離婚請求は認められるのか。※本連載は、三輪記子氏の著書『これだけは知っておきたい男女トラブル解消法』(海竜社)より一部を抜粋・再編集したものです。

夫のグッズを勝手に処分!離婚を切り出されたら不利?

【相談内容】

40代前半の専業主婦です。夫は40代後半のサラリーマン。夫は小遣いの大半をアイドルのグッズ購入、イベント参加の費用に費やしています。ここ10年来の夫の趣味で、それらのグッズが所狭しと置かれています。邪魔なので「処分したら?」と言うと、その度に「うるさい」と反論され、喧嘩になります。

 

先日、いよいよ私の不満が爆発し、夫の留守中に業者に来てもらい、すべてを二束三文で売り払ってしまいました。夫はその事実を知ると、怒りのあまり、家を出て行ってしまいました。勝手に処分したことは反省しています。けれど、夫のコレクションはたとえ相手がタレントとはいえ、「他の女性に夢中になっている」ことなので、私はいつも不快に感じていました。夫にも落ち度があると思います。もしも今後、夫から離婚を切り出されたら、私は不利でしょうか?

男女逆の立場でも「趣味を否定する行動」は許せるのか

夫との趣味の違い、あるいは趣味が気に入らないということで夫が大切にしていたものを捨てられてしまったということですね。ここで、法的な説明をする前に、一度冷静になっていただくために、こんな事案を考えてみました。相談を受ける立場になって考えてみてくださいね。事案は次の通りです。

 

ここに40代前半の専業主婦の方がいます。趣味は韓流タレントの追っかけです。彼女は小遣いの大半を韓流タレントのグッズ購入、イベント参加の費用に費やしています。その女性の夫がグッズが邪魔だと言い始めると、彼女は「うるさい! これが私の唯一の趣味なのよ」と反論していました。

 

ある日、夫の不満が爆発し、彼女の留守中に業者に来てもらい、彼女が集めていた韓流タレントのグッズのすべてを処分してしまいました。彼女はその事実を知ると、怒りのあまり家を出て行ってしまいました。夫は勝手に処分したことは反省しているようです。しかし、彼女のコレクションはたとえ相手がタレントとはいえ、「他の男性に夢中になっている」ことなので、夫はいつも不快に感じていたそうです。彼女に落ち度はあるのでしょうか。

 

今後、彼女から離婚を切り出した場合に、彼女の夫は彼女の集めていたグッズすべてを処分したことで不利になるのでしょうか。

 

夫のグッズを勝手に処分したとき、離婚請求は成立するのか。(画像はイメージです/PIXTA)
夫のグッズを勝手に処分したとき、離婚請求は成立するのか。(画像はイメージです/PIXTA)

 

さて、この相談を読んでみて、どのように感じましたか。ご自身のご相談に対して「欲しい回答」と同じ回答をこの夫さんに回答できますか。

 

私が、ここで男女逆転させて事例検討していただいたのは、「男女逆でも同じ回答になるのか」「男女逆だと回答が異なることは妥当なのか」について考えてみていただきたかったからです。

 

私個人としては、原則として(あくまで「原則として」です)、どんな事案であったとしても、男女逆で結論が異なることは妥当ではないと考えています。

 

たとえば、男性によるDVが許されないのではなくて、「DVが許されない」のです。今回のご相談の事案についても、ご相談者が女性だからという観点は横に置いておくべきだと思っています。

 

次ページ離婚請求は認められる可能性あり…その理由とは
これだけは知っておきたい男女トラブル解消法

これだけは知っておきたい男女トラブル解消法

三輪 記子

海竜社

情報番組のコメンテーターとして活躍中の女性弁護士が書き下ろす女性のための法律バイブル! 離婚問題、各種ハラスメント問題に対して真摯に取り組んでいる彼女だからこそ放たれる金言的なアドバイスの数々。 婚約破棄、…

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