中国貿易統計、依然強さが残る

貿易統計に限らず、中国の1~2月の春節(旧正月)休暇の時期は毎年大きくずれることから、比較はただでさえ難しいうえ、昨年は新型コロナウイルスによる景気の落ち込みも貿易統計に影響を与えたと見られます。この前年の減少分を上回る伸びが輸出入に見られますが、この伸びの一部は今後低下することも考えられます。その場合の中国当局の政策運営に注目しています。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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中国貿易統計:3月は輸入の伸びが相対的に輸出を上回り、貿易黒字が縮小

中国税関総署が2021年4月13日に発表した3月の貿易統計(ドル建て)によると、貿易黒字は138億ドルと市場予想(520億ドル)を大幅に下回りました。内訳を見ると輸出は前年同月比が30.6%増の2411億ドルと市場予想(38.0%増)を下回りました。一方、輸入は38.1%増で2273億ドルと市場予想(24.4%増)を大幅に上回りました。なお、新型コロナウイルスが拡大する前の19年3月と比べて、輸出は21%、輸入は37%それぞれ増えました。

 

地域別に見ると、3月の対米輸出は前年同月比53.3%増え、対米貿易黒字は213.7億ドルでした(図表参照)。

 

時点:2021年3月、ドル建、左が輸出、右が輸入 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表]中国貿易統計(輸出、輸入)の主な地域の構成額 時点:2021年3月、ドル建、左が輸出、右が輸入
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:中国貿易統計、春節、マスク、対米黒字

貿易統計に限らず、中国の1~2月の春節(旧正月)休暇の時期が毎年大きくずれることから、比較はただでさえ難しいうえ、昨年は新型コロナウイルスによる景気の落ち込みも貿易統計に影響を与えたと見られます。この前年の減少分を上回る伸びが輸出入に見られますが、この伸びの一部は今後低下することも考えられます。その場合の中国当局の政策運営に注目しています。

 

中国の貿易統計のゆがみを取り除いて数字を確認します。春節などの影響を除くため中国税関総署による1-3月期の貿易統計を見ると、輸出は前年同期比で38.7%増、輸入は同19.3%増と3ヵ月で均しても堅調とみられます。

 

前年の水準が新型コロナの影響で(最も低かったのは2月)低かったので、19年の水準を参照すると輸出は21%、輸入は37%それぞれ増えています。輸出については中国製品に対する特需的要因、輸入については中国の内需回復と、輸入物価の上昇が要因と見られます。

 

例えば、鉄鉱石の輸入数量は年初来前年比で約8%増に過ぎませんが、金額ベースでは約78%増と、輸入物価の影響が見られます。同様の傾向は他の輸入品にも見られ、石炭のように数量ベースでマイナスとなった例外もありますが全般に数量ベースで小幅の伸びを示す一方、金額ベースで大幅な伸びが見られます。

 

輸出について新型コロナに関連する項目が伸びをけん引する傾向が続いています。マスクが含まれる織物はプラスの伸びを維持し、依然外需が強く、テレワークにも利用されると見られるハイテク製品にも引き続き需要が見られます。

 

世界を見渡せば、新型コロナの新規感染者数は1日当り75万人程度と依然増加傾向です。ワクチン接種が進んではいますが、最も接種が進んでいる国のひとつである米国では最低1回でも接種した人数は1億2千万人超ですが、人口比では約36.8%です。マスク無しで自由に人通りに出られるまで時間が必要かも知れず、新型コロナ関連の需要は予想外に強い印象です。ただし、一部の製品には需要が一巡した感もあり、中国の輸出が従来の伸びを維持することは難しいと思われます。

 

中国の輸出相手を見ると米国への輸出(米国から見た輸入)の規模が1国としては大きくなっています(図表参照)。

 

輸出と輸入の差である貿易収支でも対米貿易黒字が大きくなっています。なお、香港は再輸出のため除けば、中国から見て米国が最大の貿易黒字国であることに変わりありません。バイデン政権は対中国では貿易より、人権問題を前面に出していますが、いつ蒸し返されるか予想も出来ないため、解消に程遠いことは押さえておく必要があると思われます。

 

中国の1-3月期GDP(国内総生産)は4月16日に公表予定です。市場では前年比18.5%程度と、前年の低さや、堅調な貿易統計、内需回復を反映して強い数字が予想されています。ただ、今回のプラス要因が年後半落ち込むようであれば、中国当局は現在抑制的になっていると見られる金融政策などを、今後活用する展開も想定しています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国貿易統計、依然強さが残る』を参照)。

 

(2021年4月14日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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