造りすぎた管理不可能の「タワーマンション」
その後、供給はあまり増えなかったが、2000年前後から、都心回帰や都市再生の動きが活発化し、急速に供給が増えた。1998年に55階建てのエルザタワーが埼玉県川口市に完成し、2000年には超高層マンションとして初めて免震構造を採用したパークシティ杉並(東京都杉並区)が完成した。
超高層マンションは、デベロッパーにとっては造れば売れるという点で、大きなメリットがあり、消費者にとってはその豪華さや高層階における眺望、中古物件として値崩れしにくいなどの点が人気を呼んだ。
規制緩和により各地で駅前の再開発が活発化したことに伴い、超高層マンションの建設は地方都市にまで広がっていった。リーマンショック後は供給が絞り込まれたが、2012年以降再び増加に転じ、アベノミクス以降は、東京の湾岸部を中心に供給が増えた。
これまでの供給は約1000棟、30万戸近くに達する。大規模開発に後押しされる形で、今後も供給は増える見通しである。2020年以降の供給予定は10万戸超となっている。
東京都における超高層マンション供給の推移を見ると、2006年をピークに減少していたが、2013年には湾岸部の供給が増える形で、前年比でプラスに転じた。これまでの累計では、湾岸6区に超高層マンション全体の6割以上が集積している。
【タワーマンションは維持修繕、解体できるのか】
超高層マンションが登場した当初から問題視されてきたのは、維持修繕の問題である。超高層では足場を組めずゴンドラでの補修が中心となる。マンションはオフィスビルに比べ、バルコニーがあるなど外壁の形状が複雑であるという点でも維持修繕の難易度が高い。
また、付帯するエレベーターや給排水システム、防災設備が高機能・高額であるということも、維持修繕がコスト高となる。築14年前後(国土交通省は築12年程度での修繕を目安として示している)に行われる外壁やベランダ修理を中心とする1回目の修繕を乗り切ったとしても、エレベーターや給排水システムの交換の必要が出てくる築30年前後の2回目の大規模修繕については、コスト的にできるのかという問題が浮上する可能性がある。
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