「空売り」とは信用取引の一種で、証券会社に株を借りてそれを売ることです。売った後、その銘柄の価格が下落したタイミングで買い戻して株を返済することで、差額を利益にすることができます。今回は、空売りする際に適した銘柄について考えていきます。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

なぜ「空売り」で利益が出るのか?

まず、空売りによって利益が出る仕組みを、具体例を挙げて見てみましょう。

 

1. A社株100株を借り(返済期限あり)、1株1,000円×100株=100,000円で売却

 

2. A社株が値下がりしたタイミングで、1株8,000円×100株=80,000円で購入

 

3. A社株を返済、しかし差額20,000円が利益として残る

 

空売りした株は期限内に返済しなければならないのですが、それまでにその銘柄が値下がりした場合、その価格で買い戻して返済をすれば、最初に売った時との差額が手元に残ります。

 

これが、空売りで利益が出る基本的な仕組みです。

 

しかし空売りは信用取引ですので、現物取引と比べて貸株料などの諸経費が余分にかかります。また、逆に値上がりしてしまった場合の損失は、理論的には際限がありません(値下がりの場合は最低でもゼロになるだけだが、値上がりする場合は際限がなく、それでも期限内に買い戻して返済しなければならないため)。そのような点にも注意を払うべきでしょう。

 

損失が…(※画像はイメージです/PIXTA)
損失が…(※画像はイメージです/PIXTA)

「空売り」に適した銘柄とは?

では、空売りにはどのような銘柄選びが適しているでしょうか?

 

利益が出る仕組みを考えれば、その答えはとてもシンプルです。要するに、「今後値下がりが予想できる銘柄」を空売りすれば良いのです。

 

具体的には、その企業の本質的価値に比べて株価が上がりすぎている銘柄、スキャンダルが明らかになった銘柄、業績悪化が発表された銘柄、配当減額が発表された銘柄、などがそれに該当するでしょうか。

 

しかし株価というのは、常に将来の予想を織り込んで形成されていますし、短期的には単なる偶然としか思えない変動も見せます。ですから、明確な根拠と、強い確信がある時のみ、空売りをするのがおすすめです。

 

また、タイミングも重要です。例に挙げたような銘柄であっても、買うのが遅く、値下がりしきったタイミングで買ってしまえば、利益も出ないでしょう。

 

それから、前述のとおり空売りには現物取引よりも多くの諸経費がかかりますので、その分を補えるだけのリターンが望めない場合も、やらないほうがよいでしょう。

株価値下がりリスクを抑えて「株主優待」を手に入れる

なお、借りて空売りした株を返済する方法には、実は以下の2種類があります。

 

1. 市場から買い戻して返済(前述)

 

2. もともと所有しているか、他の方法で取得した同銘柄・同株数の株式を返済(これを「現渡し」という)

 

そして、このうちの「現渡し」を利用し、株価の値下がりリスクを抑えながら株主優待を得る方法もあります。手順は以下の通りです。

 

1. 株主優待の権利付き最終日までに、優待が欲しい銘柄の現物買いをする+同じ日に同銘柄の同株数を同価格で空売りする

 

2. 権利付き最終日にその株を保有していることで、株主優待を得る権利を取得

 

3. 権利落ち日になったら、現物買いした株を空売りした株の返済に充てる

 

この手法を「優待クロス」と呼びますが、株価が上がっても下がっても、空売りした分の株を同価格で現物買いした分の株で返済できるため、株価の値下がりリスクを抑えて株主優待を手にすることができます。ですから、株主優待が欲しい銘柄もまた、空売りする銘柄選びの1つの選択肢になるといえます。

 

ただしこの場合、2つの取引を同価格で約定させる必要があること、空売りには前述のとおり余分な経費がかかること、などいくつかの点にも注意が必要です。

 

ちなみに優待クロスに限らず、現物買いした株の値下がりリスクに備えて空売りもしておくことを、「つなぎ売り」と呼びます。それもまた、空売りする銘柄選びの1つの選択肢だといってよいでしょう。

 

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